分棟配置と雁行設計が優れた セコムホームライフ「グローリオ蘆花公園」
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セコムホームライフが平和不動産とともに近く分譲開始する「グローリオ蘆花公園」を見学した。 物件は、京王線芦花公園駅から徒歩 6分、または千歳烏山駅から徒歩8分、世田谷区南烏山 3丁目に位置する敷地面積約16.000平方bの5〜12階建て全373戸の規模。専有面積は約47〜172平方b、価格は未定だが、坪単価は338万円。竣工予定は2009年9月。総合監修は芦原太郎建築事務所、設計監理は石本建築事務所。施工は前田建設工業。 総合監修は芦原太郎建築事務所、設計監理は石本建築事務所であることからも判断できるが、極めてレベルの高いマンションだ。 最大の特徴は、分棟配置・雁行設計とランドプランにある。住棟は、コミュニティ棟1棟を含む10棟で、5階・9階・10階建てのヴィラ棟(8棟)を扇型形状に、12階建てのテラス棟(1棟)を雁行形状にすることで採光・通風に工夫を凝らすとともに、間取りの多様性を実現している。 ランドプランでは、敷地を貫くグリーンコリドーを設け、竹、サクラ、ケヤキ、カツラをそれぞれのゾーンに配し、既存樹林や新植など高木約330本、中木約70本、生垣約2,000本以上の植栽を計画。住棟ごとのシンボルツリーや植栽によるレイヤー、御影石張りの石畳を配することで武蔵野の四季を演出する。 駐車場( 250台)は地下駐車場とし、敷地内には大規模な雨水貯留施設を設置。共用部のトイレや屋外植栽の一部散水は雨水の再利用を行い、敷地内のグリーンコリドーには太陽光を利用したソーラー街灯も設置。災害時の備えとして防災倉庫、非常用発電、ソーラー照明、雨水貯留施設、雨水潅水施設、AEDなども設置している。 防犯・生活支援では4重のセキュリティのほかに、医療、保険、介護、食品、車、旅行など11の生活支援サービスが受けられる「セコムサロン」を設置しているのも特徴のひとつだ。 モデルルームは2タイプで、120平方bのタイプはふんだんに自然石を用いた高級仕様。もう一つの85平方bのモデルルームは、 慶大のベンチャー企業・慶大SFC研究所と提携して頭のよくなるマンション<vランを提案しているのが面白い。トイレを含めいたるところに落書き帳が置かれており、親と子がそれぞれ読むそ本がランダムに並べられた本棚が配置されている。 一部の1階住戸には日本初の破壊センサー付き防犯ガラス「セコムあんしんガラス」を、全住戸にセコムアルファ製のキッチン用消火器「トマホークジェットα」をレンジフードに標準装備しているのも同社ならではの設備だ。 9月6日からモデルルーム見学を開始しており、現在、約280組の来場があり、問い合わせは約2000件に達しているという。 ◇ ◆ ◇ いうまでもなくセコムはわが国のセキュリティサービストップ企業だ。 08年3月期の売上高は6826億円、経常利益は1142億円で、売上高経常利益率は何と16.7%だ。業態が異なるといってしまえばそれまでだが、不動産業ならケタが間違っているのだろうと思うぐらいの収益率の高さだ。 最近は多角経営でさまざまな事業分野に参入しており、不動産事業を展開するセコムホームライフもその一環だ。 記者は、大手系のマンションデベロッパーの役割は、その大手のブランドにふさわしいレベルの分譲住宅を供給するべきだと思っている。供給戸数(売上高)などは全く関係がない。その大手のブランド価値を高めることが至上命令だと考えている。 記者がセコムホームライフに期待するのは、セコムの本業にふさわしいトップレベルのマンションを供給して欲しいということだ。記者は同社の郊外型のマンションを見るにつけどうしてセコムのブランドにふさわしい物件を供給しないのだろう≠ニずっと考えてきた。 しかし、「蘆花公園」は他の大手(系)デベロッパーのマンションと比較しても全然引けを取らない。ランドプラン、設計思想などは大手デベロッパーのそれを上回るといってもいいかもしれない。それほど優れた物件だ。 同社は、商品化に当たって6社による設計コンペを実施している。石本建築事務所を選定したのは、全10の分棟配置と雁行設計の巧みさにあった。他の設計提案はタワー型や板状型だったという。分棟配置や雁行設計はそれだけコストもかさむが、「ありきたりのプランでは面白くない」(同社プロジェクト推進本部宣伝企画部部長・野口弘氏)ということで決断した。 コストアップによる販売面での影響はあるだろうが、良質なストックを残し地域の価値を高めるということこそがセコムグループの同社に求められる役割だと考える。 |
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(牧田 司 記者 10月15日) |