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 2週間の勉強で宅建に合格した

アンビシャス安川周作専務


アンビシャス安川周作専務

 

みずほコーポレート銀行から出向 千葉黎明高校の校長も経験

 今年の宅建試験まであと2週間ちょっと。受験生にとっては追い込みの勉強に必死で取り組んでいる頃だ。小、中学生だって受かるぐらいだから、国家資格としてはそれほど難しくない資格試験だが、10年、20年かかっても取得できない業界関係者は少なくない。

 そこで、あと2点、3点の上積みがあれば合格ラインに達しそうな受験生に、とっておきの情報を提供しよう。わずか2週間の勉強で昨年見事35点を取り合格した人を紹介しよう。昨年4月、みずほコーポレート銀行からアンビシャスに出向し、その後転籍、現在は専務取締役に就任している安川周作氏(55)だ。

 安川氏は、銀行マン時代に電鉄系の不動産会社や住宅金融公庫などとは取引の関係で知っており、「1種住専」(金融機関の住専ではない=記者注)などの言葉もある程度は知っていたという。

 しかし「宅建業法」とは全く縁がなかったという。そもそも受験することを決めたのは、「どのようなものか雰囲気を知っておこう」という程度のものだった。受験間際になり、同社・安倍徹夫社長から「私は20年かかって、3回目の受験で43点を取り合格した。43歳だった。生半可な勉強で合格できるわけがない」と挑発≠ウれて、が然合格することを決意した。受験直前の2週間前だった。

 ここからが大切な部分だ。「テキストなど読む時間がない。私のやったのは、通勤電車の中とか寝る前の数時間、文庫本タイプの過去問集の反復です。過去問をマスターすれば全50問のうち半分の25点ぐらいはだいたい解ける。あとの合格ラインまでの10点をどう取るか。間違った問題だけを2度、3度、繰り返して解き、それでも分からないときにテキストを読みました。テキストは10数ページしか読んでいません」

 多少の不動産に関する知識があったとはいえ、わずか2週間の勉強で合格ラインに達したのは、京都大学法学部卒という秀才≠セからこそだが、何度受験しても取れない人には大いに参考になるはずだ。

 どう考えても正解が分からない問題については、安川氏は「悩みすぎると選択を誤る。最初の直感が正解のケースが多い」という。

 「資格試験は、仕事に生かすスキルとは別。合否の基準も○○点以上という絶対水準ではなく、上から15%ぐらいという相対水準だから、割り切って資格を取るための手段として勉強すべき」ともいう。「2週間で覚えたことは、2週間で忘れるものです。忘れてもいいから、資格を取るためには受験日に照準を定めスケジュールを組むこと」と受験生にアドバイスする。

「校長は興銀マン 4年間の出向で学校が変わった!」上梓

 安川氏の経歴がまたユニークだ。大学を卒業後、日本興業銀行に入行。個人・企業向け営業を担当。神戸支店副支店長のとき、第一勧銀、富士銀行との3行統合に際してみずほホールディングスに出向。みずほ銀行発足時のシステムトラブルでは、個人営業本部という顧客対応の中心セクションにいた。その後、2003年、学校法人千葉黎明学園に出向し、2007年3月まで千葉黎明高校の校長を務めている。

 今年の5月には新刊本「校長は興銀マン 4年間の出向で学校が変わった!」(学事出版、 B6判、税別価格1500円)を著した。この本の中にも「私は、『テストは頭の良し悪しではなく、上手下手』だと思っています。限られた時間を効率よく使って、どのような勉強するか。それがポイントです」(178ページ)と書いている。

 もう一つ、RBA野球関係者にぴったりの文章もあった。

 「実は、勉強はスポーツや芸能に比べて勝てる可能性が非常に高いのです。例えば、高校野球の千葉県代表になるのは180校の1校だけです。しかも、ベンチに入れるのは20名。一方勉強では、超難関といわれる大学でも、倍率は10倍もありません。東大の入学者3200名、甲子園は20名×47都道府県で940名。私なら、東大を狙います(実際には狙いませんでしたが)」(181ページ)

 さらにもう一つ。記者も疑問に思っている学校教育の現場について、安川氏はこう書かれている。

 「私はある中学の校長から、『今の教育は、生徒全員に同じ高さのとび箱を跳ばすようなことはしません。六段が跳べる生徒は六段、四段しか跳べない生徒は四段が跳べればそれでいいのです』と言われて驚くと同時に、新入社員の変化の原因が分かったように思えた」(87ページ)

 こんな差別的・不平等な教育が現在行われているようだ。

(牧田 司 記者 10月2日)