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「長期優良住宅(200年住宅)」制度は走りだしたが…

税体系、建基法などとの整合性は大丈夫なのか

 当欄既報のように、ジャーブネットが「長期優良住宅(200年住宅)」の普及を視野に入れた住宅を発売すると発表した。各社がこの「長期優良住宅(200年住宅)」の取り組みを強化するのは結構なことで、時代の要請にかなうことだ。

 しかし、記者は、以前からこの「長期優良住宅(200年住宅)」制度については多くの疑問を持っている。

 そもそも「200年住宅」なる文言がよく分からない。コンクリート住宅ですら、ようやく「100年コンクリート」が定着しだしたばかりなのに、どうして木造住宅が「200年」なのか。確かに、わが国にはお寺などの歴史的建造物には数百年も経過している木造建築物は存在するから、保守・管理をしっかりすれば200年の耐用年数があるのかもしれないが、もう少し適切な言葉がないものかと思っていた。

 自民党の最初の提言では「ロングライフ住宅」という文言が用いられていた。これは旭化成ホームズの固有名詞=i同社はこの言葉を商標登録申請したことがあるが、受理されなかったそうだ)だから無理としても、「200年住宅」はあたかも耐用年数が200年と誤解されかねない。正式な法案の名称は「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」で、当然のことながら条文のどこにも「200年住宅」など出てこない。誤解されないように、もっと分かりやすい文言にするべきだろう。

 もう一つ、大きな疑問は、税法上の木造住宅の耐用年数の問題だ。現在、減価償却計算における木造住宅の耐用年数は20〜22年に過ぎない。コンクリート住宅でも47年だ。この制度の改正は必要だろう。また、矛盾だらけという建築基準法などとの整合性は大丈夫なのかという疑問も湧く。

 政府は、新法の成立を前提に登録免許税、不動産取得税、固定資産税の減額措置を講ずるとしているが、「環境共生住宅」や都の「マンション環境性能表示制度」などの優良住宅についても同様の措置を取るべきだろう。制度が異なるといえばそれまでだが、これは明らかに不公平だ。

 住宅ローンの期間延長も必要だろう。現在、りそな銀行が「45年ローン」を商品化している。しかし、これは主に若年層向けに商品化したもので、長期優良住宅制度に関連して商品化したものではないし、同行は審査に当たって構造をどのように評価しているかについては公表していない。

  さらに言えば、これまで国家的プロジェクトだった「ハウス55」「タウンハウス」などがいつのまにか消えていった経験もある。公的年金制度だって50〜60年で破綻したではないか。果たせない約束などしないほうがいい。

 走り出したものにけちはつけたくないが、「200年住宅」は、福田首相が2007年5月に、自民党住宅土地調査会長として発案したものだ。もっと時間をかけてやるべきではなかったか。

◇   ◆   ◇

 国交省は、新しい法律と関連する「超長期住宅先導的モデル事業」の提案の募集(平成20年度第1回)を4月11日から始めたが、4月24日現在、申請はゼロだ。申請受付先である(独)建築研究所では「申請書作成に時間がかかっているようで、締め切りの5月12日間際に集中するのでは」とみているが…。

                                                                      (牧田 司 記者 4月24日)
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