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開発余地少なく、魅力に欠ける舎人ライナー沿線
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集合住宅の事前協議は激増しているが… 日暮里・舎人ライナーが3月30日開業した。東京都荒川区の日暮里駅と足立区の見沼代親水公園駅(約9・8キロ、13駅)を約30分で結ぶ東京都交通局が運営する新交通システムで、初乗りは160円、終点までは320円。 早速、マンションなどの開発が今後どうなるかを探るために取材に出かけてみた。以下は、足立区内の同沿線で現在分譲中、または分譲予定のマンションだ。(売主、物件名、戸数、坪単価の順。順不同) ●ダイヤモンド地所「親水公園ダイヤモンドマンション」 31 戸 150万円 「相場は坪130〜140万円のエリア」 舎人ライナー高架・道路沿いで建設中のマンション 足立区の建築道路課開発指導課のデータによると、日暮里・舎人ライナーの路線の左右1キロ圏内での集合住宅(賃貸含む)の事前協議件数は平成15年から17年にかけて年間6〜9件だったのが、18年には21件、19年は14 件に増加している。 ただ、分かる範囲で調べた結果、現在、あるいは今後マンション分譲計画があるのは上記の8物件しか見当たらない。今後明らかになる物件もあるだろうが、事前協議の対象となっている案件のうち多くは賃貸マンションではないだろうか。 分譲中のマンションでは、売れ行きがいい≠ニいう景気のいい話は聞かれない。あるマンション販売担当者は「舎人ライナーが開業しても動きは変わらない。そもそもこの沿線の魅力は価格間安さ。それでも坪単価は130〜140 万円が妥当」と、正直に語っている。 記者は、グローベルスとジョイントの物件を除き現在分譲中のマンションを全て見学したが、いかにもマンションのモデルルームらしいと思ったのは、動線がよく考慮されていたフォーユー「アーデル見沼代親水公園」86戸だけだった。後は、いかにも価格優先≠フ物件で、商品企画に見るべきものがなかった。 フォーユーの物件は今年1月から分譲開始されており、1期32戸のうち24戸が契約済みだ。 全て隈なく沿線を歩いたわけではないが、車窓から眺めた風景や区役所関係者などから聞いた話を総合すると、この沿線の開発余地は少なく、マンション事業にとって魅力は乏しい沿線という結論に達した。 確かに日暮里まで30分圏というのは魅力に違いないが、もともとが舎人ライナーは産業道路の放射11号線に沿って敷設された新線だから、駅前にターミナルがないし商業施設もない。舎人から見沼代親水公園にかけて喫茶店など一つもなかった。これは街として致命的だろう。 沿線沿いにはマンションが建つ余地はあるが、産業道路と舎人ライナーの高架沿いではレベルの高いマンションは期待薄だ。マンション同士の見合いや日照条件にも制約がある。 他の地域は、容積率が200〜300%の第一種中高層や第一種住居地域だが、すでに戸建てが建っているところが多く、ミニ開発も少なくない。マンションを計画すれば近隣紛争の火種になるのは間違いない。沿線には区画整理の予定もほとんどない。工場の移転・再開発はあるかもしれないが、大きな工場は沿線にはない。 沿線で魅力を感じたのは舎人公園だ。駅前に野球場と陸上競技場があり、施設を整備すれば利用客は増えそうだ。ただし、マンションの開発余地はなさそうだ。 沿線の開発面積が約2500ヘクタールもあるつくばエクスプレスとはまた違った意味で、舎人ライナーの将来性はとても明るいとはいえない。
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(牧田 司記者 4月1日) |
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