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リッツ・カールトンの「クレド」に学ぶ

 

CSナンバー1を掲げた三井不動産の岩沙社長も感化? 

 リッツ・カールトンのホスピタリティの高さについては、先日、当欄でも紹介したが、デベロッパーも不動産流通会社も目指すべきはリッツ・カールトンのホスピタリティだ。一朝一夕にその哲学を習得、実践できるわけではないだろうが、少しでも学ぼうとする心構えが必要だろう。これからの企業は高い哲学を持たないと生き残れない。

 この点で、興味深いことを先日経験した。それは「ザ・リッツ・カールトン東京」のオープンセレモニーでの三井不動産・岩沙弘道社長の挨拶だった。岩沙社長は、同ホテル社長兼最高運営責任者サイモン・クーパー氏と2003年に会って、東京進出に合意したと語った。

 この年5月、三井不動産は中期計画「チャレンジ・プラン 2008」を発表した。同社は発表に際して、「この『チャレンジ・プラン 2008』は、『グループ中期経営計画』において確認した経営の方向性をより明確にしたものであり、自らを不動産に関するソリューションとサービスを提供する『不動産ソリューション&サービス・プロバイダー』へ進化させることにより、『成長性と収益性に富んだ三井不動産グループ』の実現に向けて、さらなる飛躍をめざしていくもの」と宣言した。

 われわれマスコミ人に対する同社の対応が劇的に変化したのもこの頃からだと記者は記憶している。もともと同社は、デベロッパーの中でも広報担当者の数が多く、ニュースリリースの量も同業他社を圧倒していたのだが、この頃から事前のプロジェクト説明会、内覧会や竣工内覧会を頻繁に開催するようになった。記者会見での幹部の発言でも「私たちはCSナンバー1企業を目指す」という言葉が頻繁に用いられるようになった。

 当時の広報担当者に「なぜCSなのか」と聞いたことがあるが、その担当者は「私たちにとってお客様とは、マンションなどの購入者はもちろん、ゼネコン、広告代理店、記者の方など、皆さんがお客様」と答えた。

 岩沙社長がクーパー氏と会ったのと、同社がCSの徹底を宣言したのと、広報活動が飛躍的に活発になったのとはほとんど同じ頃だ。記者は、単なる偶然ではなく、岩沙社長もリッツ・カールトンのホスピタリティに感化されたのだと思うが、どうだろうか。

 以下に、リッツ・カールトンの「クレド」を紹介する。

リッツ・カールトン<クレド>
ミスティーク←エモーショナル エンゲージメント→機能的
サービスの3ステップ

1  あたたかい、心からのごあいさつを。
   お客様をお名前でお呼びします。
2  一人一人のお客様のニーズを
  読みし、おこたえします。
3  感じのよいお見送りを。
   さようならのあいさつは心をこめて。
   お客様のお名前をそえます。

モットー
“ We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen.”

従業員への約束
 リッツ・カールトンではお客様へお約束したサービスを提供する上で、紳士・淑女こそがもっとも大切な資源です。
 信頼、誠実、尊敬、高潔、決意を原則とし、私たちは、個人と会社のためになるよう、持てる才能を育成し、最大限にのばします。
 多様性を尊重し、充実した生活を深め、個人のこころざしを実現し、リッツ・カールトン・ミスティーク高める‥リッツ・カールトンは、このような職場環境をはぐくみます。

THE RITZ-CARLTON  クレド
 リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。
  私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだそして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。
  リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは、感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。

THE RITZ-CARLTON   サービス・バリューズ
私は リッツ・カールトンの一員であることを誇りに思います。

1  私は、強い人間関係を築き、生涯のリッツ・カールトン・ゲストを獲得します。
2  私は、お客様の願望やニーズには、言葉にされるものも、されないものも、常におこたえします。
3  私には、ユニークな、思い出に残る、パーソナルな経験をお客様にもたらすため、エンパワーメントが与えられています。
4  私は、「成功への要因」を達成し、リッツ・カールトン・ミスティークを作るという自分の役割を理解します。
5  私は、お客様のリッツ・カールトンでの経験にイノベーション(革新)をもたらし、よりよいものにする機会を、常に求めます。
6  私は、お客様の問題を自分のものとして受け止め、直ちに解決します。
7  私は、お客様や従業員同士のニーズを満たすよう、チームワークとラテラル・サービスを実践する職場環境を築きます。
8  私には、絶えず学び、成長する機会があります。
9 私は自分に関係する仕事のプランニングに参画します。
10 私は、自分のプロフェッショナルな身だしなみ、言葉づかい、ふるまいに誇りを持ちます。
11 私は、お客様、職場の仲間、そして会社の機密情報および資産について、プライバシーとセキュリティを守ります。
12 私には、妥協のない清潔さを保ち、安全で事故のない環境を築く責任があります。

 

(牧田 司記者 4月7日)

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