RBA HOME> RBAタイムズHOME >2007年 >

 

黒川氏は建築士事務所の登録制を許可制にすべきというが…

 

「登録制は法律で決まっていること。知事の権限でできるわけがない」石原氏

 東京都知事選挙に出馬を表明している建築家の黒川紀章氏が、建築士事務所の開設を登録制から許可制に変更するとマニフェストに盛り込んだ。

 15日夜、中野区で行われた知事選4候補の公開討論会でも石原都知事に「許可制にすべき」と迫った。黒川氏は「現行法では、事務所の開設は誰でもできる。建築士事務所を登録制にしているから耐震偽装が起きる。許可制にすべき。知事の権限でできるはず。石原さんはやる気があるか」と切り込んだ。

 それに対して、石原都知事は「登録制は法律で決まっていること。知事の権限でできるわけがなく、国も是としないだろう」と突っぱねた。

 黒川氏のマニフェストによると、「一級建築事士事務所の開始を許可制とする。姉歯事件(構造計算偽装事件)を重く捉えて、東京都においては、一級建築士事務所は登録制ではなく許可制とする。これまでは、一級建築士という国家試験の資格を持っていれば、都ではほぼ無審査で、一級建築士事務所登録ができた。しかし、医師国家試験資格や、自動車運転免許だけでは、人の命をあずかる病院やタクシー会社の営業はできない。そこで、人との命にかかわる建築設計の事務所開始には、厳重な審査による許可制とする」とある。

 国も、耐震偽装の再発を防ぐため建築士法と建築基準法の改正を行い、今年6月に施行することを決めている。

 建築士法の改正では、 国土交通大臣はその指定する者 ( 中央指定登録機関 ) に一級建築士の登録の実施に関する事務等を、都道府県知事はその指定する者(都道府県指定登録機関)に二級建築士及び木造建築士の登録又は建築士事務所の登録の実施に関する事務等を行わせることができることとし、建築士事務所に所属する建築士に課す講習を実施する機関として「登録講習機関」が新たに設けられることになっている。

 記者は、黒川氏が主張する建築士事務所の登録制を許可制にしたところで不正は防げないと思う。登録制でなく許可制の建築業で不正が断てないのと同じだ。建築確認業務の徹底を図る以外に道はなさそうだ。

 更に言えば、プライドばかり高くて、正業だけではなかなか食べていけない建築士の実情を何とかする必要があると思うのだが…。

 

(牧田 司記者 3月19日)
ページトップへ戻る