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「従業員満足度を最優先」アズパートナーズ植村社長の哲学

「アズハイム中浦和」

 

「地域に理解される5つ星を目指す」

 アズパートナーズ(植村健志社長)の「アズハイム中浦和」を見学した。植村社長から「是非見ていただきたい」といわれていたからだ。

 「アズハイム中浦和」は、JR埼京線中浦和駅から徒歩7分の、 さいたま市桜区西堀2丁目に位置する地下1階地上4階建て全64室(定員72人)の介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)で、居住の権利形態は利用権方式、利用料の支払は一時金方式によるものだ。銀行の社宅をコンバージョンしたもので、同社はファンドから土地、建物を賃借して運営しているものだ。オープンは昨年5月。入居一時金は240万円、月額利用料は18万8000円というのが平均という。

 入居率は1年を待たずして50%を突破した。一般的に民間の有料老人ホームが満室になるのは完成してから2年、3年かかるといわれているので、上々の立ち上がりのようだ。

まるで分譲マンションのような外観

 見て驚いたのは、まずその外観だった。ベージュ、オレンジ、グリーンを交互にあしらった明るくて分譲マンションでもありそうなものだった。これまでたくさん見てきた老人ホームのそれとは全く異なっていた。

 屋内は、廊下幅など社宅を改装したものと思えないほどゆったりしたもので、食堂にはスタッフから寄贈されたというピアノも置かれていた。

 もう一つ驚いたのは、植村社長の言葉だった。

 植村氏は平成16年11月、タカラレーベンが「アズパートナーズ」の設立と同時に社長に就任(タカラレーベン常務兼任)。これまで第一号の「横浜東寺尾」を始め「中浦和」を含め4カ所で有料老人ホームを開業させた。スタッフも設立時は8名だったのが、現在は約160名に増加している。近く第 5 弾となる「文京区白山」で開業する。

 植村氏は言った。「会社設立に当たっては、私から手を上げました。社内ベンチャーをどんどん進めようということもありましたが、分譲住宅事業は近い将来、転換期を迎えるだろうと読んだためです。

 会社設立に当たっては、いろいろ勉強した結果、まず理念が必要だろうと考えました。これは『アズパートナーズ <5 つの誓い > 』としてまとめましたが、われわれの提供するサービスは、『施設』ではなく、『住まい』と同等の『我が家(ホーム)』であること、お客様第一主義を徹底すること、入居者の自由を抑制しない、ご家族とのコミュニケーションを大切にすることなどです。

 そして、最大のサービスを提供するためには、従業員満足度を最優先して考えないといけない」

リッツカールトン吉江副支配人の言葉と一緒

従業員満足度を最優先する=\―この言葉は、記者がザ・リッツカールトン東京の吉江潤副総支配人から「私たちが真っ先に考えるのは従業員の満足(ES)。ここが他のホテルとちがうところ」と聞いた、その言葉と同じだった。

 この言葉を聞いて、記者は「この会社は伸びる」と直感した。植村氏は更に言った。「われわれの目指すものは、地域で評価される 5 つ星です。タバコもお酒も、ご家族の方と相談はしますが、原則自由です。居酒屋に行くのに外出するのも自由です。高いサービスを提供できれば、入居金も上げられると思うし、従業員の待遇改善もできる」と。

 記者は、これまで特別養護老人ホームと民間有料老人ホームにそれぞれ 1 泊体験入居を経験している。特養は天国=i施設&職員の対応)だと思ったが、有料老人ホームは姥捨て山=iサービス内容)だと思った。もう一つ感じたのは、そこで働く職員は待遇も悪く、とてつもなく仕事がハードということだ。体験宿泊から解放されたその日、疲れた記者は半日寝込んだほどだ。

 植村氏によると、介護事業は既得権益を狙ったM&Aが激しい職種ということのようだが、「従業員満足度を最優先し、お客様第一主義を貫く」アズパートナーズのような理念・哲学を持っている会社が生き延びるに違いない。

「有料老人ホーム」なる言葉は差別語でないのか

 それにしても、この記事でどうして「有料老人ホーム」なる言葉を用いなければならないのか。法律用語だからしょうがないのだろうが、なぜわざわざ「有料」を用いなければならないのか、「老人ホーム」は差別語ではないのか。腹立たしく思う。

 

(牧田 司記者 3月8日)

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