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「不動産流通近代化センター」の呼称変更を

 

「近代化」しなければならないほど遅れているのか

 報道によると、早稲田大学は4月、不動産取引データを収集、分析する「国際不動産研究所」を設立するという。アメリカマサチューセッツ工科大学や中国・清華大学などと提携して国際的なデータを比較し、成果は不動産政策に関する提言としてまとめる。

 結構なことだ。わが国には、明海大学が不動産学部を設置、その他いくつかの大学で不動産に関する研究を行っている程度だ。広い視点でわが国の不動産について研究する若い人を育てて欲しい。

 このことと関連はしないのだが、わが国の不動産業が世界的に見て(といっても記者は、世界の不動産業がどのようなものか全く知識がないが)、いかに遅れているかを示す事例を一つ紹介しよう。

 これは、ずっと以前から気になっていたのだが、わが国には、昭和55年に設立された「財団法人不動産流通近代化センター」という機関がある。名称に「近代化」という言葉がついているように、不動産流通業の近代化を推進するために設立された公益法人だ。

 記者は、設立されたとき違和感を持った。「近代化」という言葉は、「封建的なものを排して、物事を科学的、合理的に行うようにすること」(大辞林)という意味だ。当時、不動産業に対する蔑称として千三つ屋≠ネる言葉もあることはあったが、他の業種と比較してそれほど「前近代的」とも思わなかった。「近代化」なる言葉は学校の歴史の授業でしか目にしなかった。

 そこで、公的機関で「近代化」の言葉を使用している機関があるかどうかを調べた。一つだけあった。「財団法人東京タクシー近代化センター」だった。なるほどと思った。タクシー業界こそ「近代化」されなければならない業界だったからだ。

 ところが、平成14年、「東京タクシー近代化センター」は「東京タクシーセンター」に呼称が変更されている。呼称が変更された経緯は知らないが、「近代化」をつければ、それだけ近代化が遅れていることを世間に知らしめることになり、実態は、「近代化」を付さなければならないほど遅れているということでもなくなったからだと思う。

 不動産近代化センターも、設立されてから30近くが経過する。まだ「近代化」を付さなければならないほどわが国の不動産流通業は遅れているのだろうか。確かに、街の不動産屋≠ノは、窓一面にべたべたと手書きの、いかにも「前近代的」な不動産広告を貼り付けているところも多い。幸か不幸か、記者はこれまでほとんど不動産流通業を担当してこなかった。

 しかし、不動産業界全体が前近代的でないのは誰もが認めるところだろう。不動産流通近代化センターも呼称を変更して欲しい。

 

(牧田 司記者 2月27日)

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