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危機に瀕するコミュニティ 

デベロッパーにも責任の一端

 

 先日、ポラスのオープンカレッジ「街づくり講座」で、講師として招かれた緑住環境計画・松岡二三夫社長が「住宅もこれからはコミュニティの仕掛けとその支援のための人材がセットにされて分譲される時代が来る」と語った。

 記者も、その必要性を強く感じている。マンション入居者間のコミュニティは危機的な状況にあるからだ。団塊世代と異なり、最近のマンション購入層の中心をなす30歳代の子育てファミリーや若い単身・DINKS世代は、コミュニティ形成に対する訓練をほとんど受けていない。町内会費を払うことが理解できないようだし、地域コミュニティは「そんなの関係ない」ということのようだ。

 最近耳にした、マンション入居者の苦情を紹介しよう。信じられないような苦情≠ェ管理組合や管理会社に寄せられている。

 @団地の夏祭りや餅つきの音がうるさいA新聞配達のバイクの音がうるさいB雨戸を開ける音がうるさいC窓を開けると隣の人の話し声が聞こえるD猫を外に出す場合は鎖をつけるべきEエントランスを歩く音がうるさいF入居の挨拶に行ったら面会を拒否された(その逆に、挨拶に行くのが怖い)などなどだ。

 エントランスを歩く音がうるさいというのであれば、入居者はどうすればいいのか。こそこそと足音を忍ばせる以外方法はない。そんなマンションに誰が住むというのか。そもそもそのような苦情≠わざわざ入居者に周知する管理会社や管理組合の神経が分からない。これはもう管理者として失格といわざるをえない。

 しかし、これが現実だ。このような苦情≠ヘ日常的にマンション掲示板などにも書き込まれている。こんなわずらわしいマンション生活なんかいや≠ニいう人が増えないか心配だ。

 記者は、このような入居をめぐる苦情、トラブルの発生の原因は、基本的にはコミュニティの欠如にあると考えている。入居者同士のコミュニティがしっかりなされていれば、このような苦情、トラブルは半減するはずだ。

 危機的なコミュニティを招いた責任は、マンションデベロッパーや管理会社にもある。デベロッパーは早く売ることしか考えていないし、管理会社はコミュニティ形成まで関わろうとしない。しかし、その一方で、コミュニティ形成を醸成する仕掛けをつくったり、入居後の一定期間は支援活動を行っていたりするところもあるのではないか。そのような事例を公表して欲しい。

 嬉しいことに、良好なコミュニティを形成しようという動きもある。例えば「コミュニティビジネス(CB)」だ。聞きなれない言葉だが、 「地域の抱える課題を、地域住民(市民)が主体となって、ビジネスの手法を活用しつつ、それらを解決していく、一つの事業活動」( 広域関東圏コミュニティビジネス推進協議会ホームページ)という定義だ。CBの具体的担い手である地域のNPOなどがマンション管理組合と契約して活動しているという事例もあるようだ。

 デベロッパーや管理会社もこのようなCBと連携して、コミュニティ形成の役割の一端を担って欲しい。

 

(牧田 司記者 12月17日)

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