多摩ニュータウンの2つの注目物件、大成有楽不動産「オーベル若葉台ヒルズ」と三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス多摩センター」を見学した。価格がどんどん上昇する中で双方とも極めて割安感がある。まずは「若葉台」から。
物件は、京王相模原線若葉台駅から徒歩5分、稲城市若葉台二丁目に位置する5階建て全115戸の規模。専有面積は78.60~m100.99㎡、価格は未定だが坪単価は170万円強になる模様。竣工予定は平成27年3月上旬。施工は不二建設。販売代理は大成有楽不動産販売。
現地は、若葉台駅からフラットなアプローチの南東傾斜の高台最前席。駅周辺の開発はほぼ終了しており、このマンションが新築としては最後になる可能性が高い。
住戸プランは平均90㎡超、100㎡以上が34戸というのが最大の特徴だが、この広さだからこそできる提案が随所に見られる。約4.6畳大の大型マルチクロークをはじめ約13.1%の収納率がそうだし、リビングに面したバルコニーの一部はほぼ2.5m四方のリビングの延長として多目的に利用できるスペースの提案が行われている。浴室は1620サイズ、LDは約20畳大、主寝室は7畳大だ。玄関収納はどんどん進化する同社オリジナル。
もう一つ。これまで見たことがないパッシブデザインが施されていた。玄関ドアは表から見ると普通のドアだが、内側の下部には自然換気口が設けられていた。ドアの最下部から空気を取り込めるようにしているものだった。
これだけではない。リビングドアはデザイン処理された通気口が設置されていた。さらに、バルコニーのサッシはサブロック付きでバルコニー-リビングドア-玄関に風が流れるようになっていた。外出時に開けっ放しにしなくても自然換気ができる〝スグレモノ〟だ。
内装の提案としては、自然石をスライスして壁に貼り付けたものが提案されていた。オプションで50~60万円だそうだが、これがまたいい。
販売は7月下旬。販売を担当する大成有楽不動産販売・輿水光樹氏は、「問い合わせは約600件。2週前からの事前案内会への来場者は100組弱。オリジナル収納、自然換気システム、広々としたキッチン、マルチクローク、多目的に利用できるバルコニー提案などが好評」と話していた。
大成有楽不動産のマンションの商品企画は劇的に変わったが、このマンションも人気は必至と見た。
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若葉台でこれまで分譲されたマンションは全て見学している。いずれもUR都市機構が土地を売却したもので、売買契約の条件として戸数(面積)規制があるため、居住面積が広いものばかりだ。
これはこれで結構だが、少子高齢化が加速度的に進んでいる現状を考えれば、プラン提案はデベロッパーの自由裁量に任せるべきだ。20年も30年も一度決めた約束事を墨守するから存在意義が問われるのだ。今回も40㎡くらいの単身者向けを盛り込んでいたら飛ぶように売れたはずだ。単価は極めて割安感があるが、すべて広い分だけ価格は普通のサラリーマンの取得限界にある。
高さ規制も取り払うか緩和すべきだ。今回のマンションもリビングの天井高は2450ミリだったが、これは建物の高さが15mまでに規制されているためだ。せめて居住性の高い建物についてはあと1mでも規制を緩和していたらもっと豊かな居住空間が確保されていたはずだ。
若葉台がどのような街であるかは省略するが、駅周辺の街づくりはほぼ終了した。空き地になっているところもテレビ朝日などにすべて売却済みだという。わが街、多摩センターには総合力で劣るが多摩エリアではもっとも活気のある街だろう。
稲城市の人口増加率は東京都市部でトップだ(多摩市は19位)。マンションが位置する「若葉台2丁目」の平均年齢は36.7歳で、稲城市全体でも41.4歳(東京都の平均は43.8歳、多摩市は44.0歳)と若い。公園、運動場などが占める割合も多摩市を上回るトップだ。
とても学校とは思えないデザインの若葉台小・稲城第六中学校が人気なのも理解できる。後ほど書く三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス多摩センター」とはもちろん単価差(多摩センターは200万円を突破する)はあるが、グロスは似たようなものになる。子育てファミリーにとっては悩ましい選択だ。