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2015/03/26(木) 00:00

屋上に里山とせせらぎ 格子デザインも美しい 豊島区新庁舎が完成

投稿者:  牧田司

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完成した豊島区庁舎と「Brilliaタワー池袋」

 建築家の隈研吾氏がデザイン監修した「Brilliaタワー池袋」と「豊島区庁舎」の一体開発「としまエコミューゼタウン」が完成し、公開されたので見学した。

 約810㎡もある里山というべき庁舎屋上の「豊島の森」や総延長約130mのせせらぎを設けた4・6・8階のグリーンテラス、見る角度によって表情が変わるルーバー、国際会議も可能な格子が美しい議場、日本最大規模のふくろうコレクション、回廊美術館など見どころ満載。豊島区が誇れる新名所になりそうだ。

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◇       ◆     ◇

 「Brilliaタワー池袋」を2013年の「ベスト3マンション」に選んだのは正解だった。坪単価が350万円の高値だったにもかかわらず圧倒的な人気を呼んだが、ユーザーの見る目は正しかった。今となっては坪450万円どころか500万円の価値はある。

 庁舎の壁面にランダムに貼り付けられているブラウンのルーバーはやや濃すぎるし、太陽光パネルが乱反射し雑多なものを映し出す外観は美しいとは思えないが、外周に植えられているケヤキ、シラカシ、サクラなどが成長すれば隈氏が企図した「樹木のような庁舎」になるのではないか。

 圧巻は「ランドスケープ・プラス」社がランドスケープデザインを担当した「豊島の森」と外周を流れるせせらぎだ。立派な屋上庭園はたくさんあるが、せせらぎを建物の外周に巡らすというものは記者の知っている限りでは今回が2例目だ。滝の音の演出もある。建物全体の管理維持費は5億円、このうち植栽関係だけで6,000万円を想定しているようだが、それだけ経費をかける価値は十分ある。

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「豊島の森」

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「グリーンテラス」(ベンチもあるので足水が可能なのか)

 アトリウム、吹き抜け、議場などあらゆるところに用いられている格子ルーバーもまた心憎いほどの工夫が凝らされている。吹き抜け空間「エコヴォイド」に用いられているルーバーは長さが異なる3種類のものを等間隔に張り付けてあり、正面から見ると縦のラインが規則正しく並ぶのだが、移動するごとに表情が変化していく。アトリウムの壁面はL型ルーバーの貼り付け方を変えることで陰影に変化をつけている。隈氏がよく好む工夫だ。

 アルミ手すりや壁面・ドアなどのカラーリングにも気を使っており、えも言われぬ色が用いられている。侘び寂びの世界だ。議場の壁面と区長執務室は布クロスが採用されていた。

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エコヴォイドのルーバー(左)とアトリウムのルーバー(長さが異なり貼り付け方が異なる)

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正面から見たルーバー(左)と斜めから見たルーバー

 故松浦千誉氏が所蔵し、区が平成22年に寄贈を受けた6,680点と区が所有する13,253点を展示する「ふくろうコレクション」も区民に親しまれそうだし、アトリエ村で知られる豊島区美術家協会会員100名の絵画なども廊下などに展示されている。

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ふくろうコレクション

 唯一と言っていいくらい見劣りしたのが男子用のトイレ。民間は最新のものを採用するところが増えているが、ここは極めてシンプルというか並み以下だった。女性用のトイレは見なかったが、女性用だけ豪華ということはありえない。

 しかし、新庁舎は「歌舞伎座と一緒、クマさんがデザインしたんでしょ。区民の誇りになる」と見学した区民が話したように、区の新名所になるのは間違いない。区のイメージを変えるかもしれない。

 新庁舎の専有面積は約26,000㎡。このうち約11,000㎡を市街地再開発建物の床として区が取得。不足分は再開発組合から購入。この購入資金を確保するため旧庁舎敷地と公会堂・分庁舎敷地を定期借地権で民間に貸し付ける。

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議場

記者が選んだ2013年ベスト3マンション(2013/12/26)

 

 

 

 

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