第25回 RBA野球大会 日曜日ブロック(タイ国大使杯) 東京建物に奇跡をもたらすか 新人の村部投手 東京建物 村部 |
||
RBA日曜ブロックの東京建物が三菱地所リアルエステートサービスを破り10年ぶりに1シーズン2勝した。その立役者は立命大準硬式出身の新人の村部投手だ。 村部は初戦の6月23日、三菱地所リアルエステートサービス戦て先発完投し8−5で地所リアルの追撃を振り切った。試合後は「全部ストレート。変化球を投げると僕の持ち味であるストレートのコントロールが悪くなる」と語った。2週間後の第2戦目、三井不動産レジデンシャル戦では9安打を浴び2−6で敗戦投手となった。このときは試合後、「次は変化球もあるぞというところを見せるか」と変化球を投げることを匂わせた。 そして再戦となった7月7日の地所リアル戦では変化球を初めて投げた。記者のそのシーンを観ていた。「3回まで変化球を3球投げたら決まった」と話したが、そのうちの1球で三振も奪った。4回以降は変化球を多投し相手を手玉に取った。試合は10−4で勝利。4失点のうち自責点は1のみだった。相手の榊監督も「2週間で変化球を覚えたなんてたいしたもんだ」とほめた。 ◇ ◆ ◇ なぜ村部は初戦でストレートにこだわったのか。どうして中1〜2週間で変化球をマスターしたのか。そのなぞが解けた。 村部は話した。「大学では関西6大学の公式戦に1度も投げていない。練習試合でも1度か2度ぐらいしか経験はない」 「投げていない」というのは正確ではない。「投げさせてもらえなかった」というのが正解だ。「僕のストレートでは相手に全然通用しない。それぐらいのレベル。だから僕は変化球ばかり投げていた」というのだ。 関西6大学準硬式の6大学とは立命大のほか、同志社、阪大、神戸大、関西学院、関西大のことだ。「温情で投げさせてもらえる? とんでもない。ありえない話」と村部は勝負の世界の厳しさをこう語った。 ◇ ◆ ◇ 「準硬と軟式では球が全然違う。最初はなじめなかった」村部が封印していた変化球を投げるようになったのは、やはりストレート1本では抑えられないことが分かったからだろう。1〜2週間の短期間に変化球をマスターしたのは、もともとが変化球投手だったからだ。ストレートにこだわった気持ちも分かるし、変化球に切り替えた決断力もよく分かる。 次の戦いは同じ三菱地所グループの三菱地所だ。地所リアルより戦力はアップするが、歯が立たない相手ではない。大学では1度も公式戦のマウンドに立ったことのない入社4カ月の男が、その憂さを晴らすときがきた。「変化球もあるぞ」と相手に思わせればストレートも効果的に投げられる。野手陣がしっかり守り、打線が奮起すれば勝機も十分とみた。東建に奇跡は起きるか。 |
||
(牧田司記者 平成25年7月16日) |