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モリモト・大和ハウス「カワサキ・ミッドマークタワー」

首都圏で5物件目 免震で長期優良住宅


「カワサキ・ミッドマークタワー」完成予想図

 モリモト(事業比率50%)と大和ハウス工業(同)の共同事業マンション「カワサキ・ミッドマークタワー」を見学した。川崎駅東口の物件としては15年ぶりで、しかも徒歩4分の免震タワー、全戸南向き、長期優良住宅という希少性の高いマンションだ。

 物件は、 東海道本線・京浜東北線・南武線川崎駅から徒歩4分、川崎市川崎区砂子2丁目に位置する20階建て全159戸の規模。専有面積は55.01〜96.81u、価格は未定だが坪単価は250万円弱になる模様。竣工予定は平成27年8月下旬。設計・監理は安宅設計。デザイン監修はアーキサイトメビウス、カン・デザイニングオフィス。施工は東亜建設工業。販売代理はモリモト。

 現地は、川崎駅東口の行政・金融・商業などが集積するエリアのど真ん中。建物は老舗店舗「ヌマヤ」の建て替え事業でもあり、建て替えだったからこそ繁華街の中心部でもこれほどの規模のマンションが建った理由のようだ。住宅は4階以上となる。周囲にはビルやマンションなどが建ち並んでいるが、南側は5〜6階以上は抜けているのが特徴。

 免震タワーではあるが、19〜20階住戸を除く戸境壁は乾式間仕切り壁ではなく通常のマンションと同様のコンクリート壁を採用。また、逆梁アウトフレーム工法を採用しているためサッシ高は2200ミリを、リビング天井高は2500ミリをそれぞれ確保している。

 分譲開始は9月からで、これまで問い合わせ件数は約1,200件。

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 デザイン監修はアーキサイトメビウスが、モデルルームのデザインは鈴木ふじゑ氏がそれぞれ担当していることでも分かるように、商品企画は明らかにモリモトのものだ。最近の同社のマンションでもこのコンビの物件をたくさん見てきた。

 今回の物件は、これまで同社があまり供給したことがない(蒲田の物件はあったが)商業地域のど真ん中に位置しており、この点がどうユーザーに評価されるか今ひとつ分からないが、物件そのものはいい物件であるのは間違いない。

 同じ川崎駅圏に限れば、同社は「ラゾーナ川崎」の隣接地で「クレッセント川崎タワー」(365戸)を6年前に供給しており、圧倒的な人気を呼んでいる。単価は坪260万円を越えていた。もちろんファミリーが住むなら「川崎タワー」のほうだろうが、今回はまた違ったユーザーの関心を呼ぶのだろう。

 川崎駅圏で免震工法を採用しているのは「川崎タワー」に次ぎ2棟目だ。市内の長期優良住宅としては川崎市住宅供給公社の「川崎ケートタワー」に次ぎ2物件目だ。免震でかつ長期優良住宅というのは三菱地所レジデンス・鹿島の「ザ・パークハウス晴海タワーズ」と、三井不動産レジデンシャル「パークタワー東雲」、野村不動産「プラウド大宮」、三井不動産レジデンシャル「パークホームズLaLa新三郷」ぐらいしかないはずだ。今回が5物件目になる。

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 中堅のデベロッパーにひと言。今回の物件は、モリモトが相対取引でマンション建設にこぎつけ、大和ハウスに共同分譲の話を持ちかけたようだ。大和ハウスといえば売り上げではわが国一のハウスメーカー・デベロッパーだ。そんな大企業と組めるのは中堅デベロッパーでは同社だけだ。地所レジの「晴海」も三井の「東雲」も素晴らしいマンションだが、免震・長期優良としては3件目を企画したのがモリモトというのは価値がある。

 今回の現地販売事務所の担当者が「鈴木さん(ふじゑ氏)はいつも楽しみながらやってくださる」と話した。この言葉からもプロが同社のマンション商品企画に関わる意気込みが伝わってくるではないか。これからの時代、大手の隙間を埋めるだけのデベロッパーは生き残れない。大手と対抗できる、あるいはオンリーワンの企画力を武器にしなければならない。

 最近、同社が分譲した「ディアナコート小石川播磨坂」(20戸)が即日完売したそうだ。単価は370万円ぐらいだったようだ。現地の場所を地図を確認したので人気になる立地であるのは理解できるが、同じ茗荷谷では野村不動産が分譲して人気になった「プラウド茗荷谷」(分譲戸数59戸)の単価と同じぐらいだ。戸数こそ少ないがプラウド≠ニ堂々と渡り合えるのも同社だけだ。

川崎のランドマーク モリモト「クレッセント川崎タワー」完成(2009/4/15)

(牧田 司記者 2013年8月2日)