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三井不動産販売 子会社5社を吸収合併

社名も「三井不動産リアルティ」に変更

 三井不動産販売は3月2日、同社の100%出資子会社である三井リハウス東京、三井リハウス西東京、三井リハウス湘南横浜、三井リハウス関西、三井リハウス名古屋の5社を吸収合併し、商号を「三井不動産リアルティ」に4月1日付で変更すると発表した。5社を合併統合することにより、経営の効率化を図る。社名変更に伴い、三井不動産販売札幌、三井不動産販売東北、三井不動産販売中国株式会社、三井不動産販売九州も商号変更する。地元不動産会社との共同出資で展開する「三井式フランチャイズシステム」はそのまま継続する。

 また、取締役の経営責任、執行役員の業務執行責任を一層明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できる体制を構築するため、それぞれの任期を2年から1年に変更し、会長・社長を除く役付役員を廃止する。

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 5社の吸収合併は事前につかんでいた情報と同じだった。別会社体制にしてそれぞれ競いながら伸ばす戦略もあるが、経営のロスも大きい。一元化するのは納得できる。

 社名は発表されるまで全然分からなかった。かん口令が徹底されていたのだろう。記者は、仲介ブランドの「リハウス」を生かすため「三井(不動産)リハウス」が真っ先に浮かんだが、「リパーク」事業も伸びているので、「三井(不動産)リハウス&リパーク」とでもなるのかと思っていた。「リアルティ」は想像もしなかった。 「リアルティ」はかつて住通チェーンが子会社の社名に使っていた。その後、住生活グループ入り、事業統合などを経て現在は「LIXILリアルティ」となっている。

 「リハウス」は社名には採用されなかったが、「三井のリハウス」の誕生秘話をノンフィクションでまとめた陣内一徳著「三井のリハウス物語『住みかえ』マーケットを創った男たち」には次のような面白い話が紹介されている。

 CIを導入する過程でネーミングをどうするかについて「リハウス(rehouse)」と「リブタップ(Live it up)」の2案が残ったが、英語に堪能な当時の坪井社長は「リハウス」に強行に反対したという。坪井社長は「リハウス」は他動詞だからブランドに使用するなら「ing」を付けて名詞にしろと言ったそうだ。

 「リハウス」を推していた当時の責任者、故・村田彰二課長は直談判に出掛けた。坪井社長と村田課長が話し合っている最中に、枝村利一氏(当時専務)が部屋に入ってきて、事情を察知した枝村氏が坪井社長に「やらせてみてはいかがですか」と助け舟を出し、「君がそこまでいうのなら … 」と「リハウス」が決定したのだという。

 竹井社長は今年の年頭所感として、「辰年の今年は、『立つ』年、すなわち顧客第一でかつチャレンジのリスクテークに寛容な文化とコンプライアンス・リスク管理に厳しい風土が併存する営業会社を目指し、新たな成長戦略をスタートさせる『立つ』年にできればと念願している」と、あえて「リスクテーク」という文言を用いているように、この言葉からも、子会社の吸収合併、社名変更への決意が読み取れる。

         

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 「リハウス」の名付け親とも言えるかもしれない枝村利一氏(元三井不動産販売社長、元FRK理事長)が今年の不動産協会・不動産流通経営協会(FRK)合同の新年賀詞交歓会に元気に顔を出した。枝村氏は、昨年秋の叙勲で旭日中綬章を受賞。今年2月12日に88歳(米寿)を迎えた。


今年の新年賀詞交歓会(手前左が枝村氏、右が竹井社長、後ろは赤津新英顧問)

(牧田 司記者 2012年3月5日)