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東急不動産が記者懇 街づくりの東急′囈р阨恁はあるか


東急不動産グループ記者懇親会で挨拶する東急不動産・金指社長(ザ・キャピトルホテル東急で)

 東急不動産グループは2月29日、恒例の第33回目の記者懇親会を開いた。冒頭、挨拶にたった東急不動産・金指潔社長は、「昨年11月に発表した中期経営計画では、大きく社会が変化するのに対応し、グループの価値の連携を通じて厚い基盤を築いていくことを中心に盛り込んだ」とし、東日本大震災についても触れ、「震災後の様々な活動を通じて、日本も捨てたもんじゃないと感じた。当社も復興応援プロジェクト『日本に笑顔を』スタートさせたが、震災を風化させない活動をこれからも継続していく」と語った。

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 記者は、分譲が主な取材フィールドだから、同社の建売住宅(都市型戸建て)が極端に少ないのがずっと気になっている。同業の大手では、三井不動産レジデンシャルが800戸〜900戸ぐらいをコンスタントに販売し「一人勝ち」の市場を形成している。野村不動産も現在は500〜600戸ぐらいだが、三井不動産レジデンシャルを急追しており、追い越す勢いにある。

 一方で、かつては東急電鉄とあわせると年間で2,000戸ぐらいを供給してきた同社の販売戸数はこのところ200戸台で推移している。「街づくり」の東急の看板はどうしたんだろうと、歯がゆくて仕方がない。実績だけならどこにも負けないはずだ。地盤の田園都市線を中心とする神奈川方面はいうに及ばず、埼玉、千葉でも大規模団地を手がけてきた。グループには東急ホームも、創業が江戸時代という造園会社の石勝エクステリアもある。

 戸建て市場もマンション市場と同様、もはや量の拡大を追求する時代ではないが、これまで手がけてきた大規模団地の再生、活性化を含め、それこそグループの総合力を発揮する事業機会は広がっているはずだ。

 そこで、分譲事業担当役員の大瀧岩男常務に質問をぶつけた。大瀧常務は昭和54年入社で、埼玉や千葉方面の建売住宅を担当してきたというから、同社が建売りナンバー1≠ニ評価された時代のランナーの一人だったようだ。

 その大瀧氏は、「バブル崩壊後は街づくり、環境づくりにこだわってきたため、小規模の建売住宅は行ってこなかったが、これからは増やしていく。土気では残り600区画ぐらいあるが、これから年間80戸ぐらいを供給していく。淵野辺でも80戸を計画している。マンションももちろん増やしていく。ナンバー4をキャッチアップする」と語った。

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 石勝エクステリアの猿井良昌社長とも歓談した。話は、同社の社長から造園家としてテレビのコメンテーターとして活躍し、東京都市大学教授になった湧井史郎氏に及び、「湧井さんとは一緒にワンハンドレッドヒルズのランドスケープをやった。石勝の創業は江戸時代ですよ。どこにも負けるはずがない。東急不動産の戸建ては現在20%ぐらいしか受注していないが、同業他社の戸建ても含め増やしていく。シナジー効果を発揮して、これからは(売上を)年率10%は増やしていく」と語った。

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 もう一つ、気になるのは、会計基準を変更したためでもあるが、同社のオフィスなどへの投資による有利子負債の増加だ。平成24年3月期第3四半期決算によると、匿名組合などの連結による固定資産の増加などにより総資産は前期末より5,728億円増加し1兆7,342億円となっているが、負債でも匿名組合の連結による有利子負債も増加しており、前期末より5,412億円増加し1兆854億円と1兆円を超えている。このうち5,829億円が匿名会社などの借入金だ。

 この点について同社岡本潮副社長は、「事業は順調に進捗しており、すべて毎日のようにチェックしている。大丈夫」と語った。

   
いかにも隈研吾氏が設計したホテルらしく格子が美しいザ・キャピトルホテル東急

(牧田 司記者 2012年3月1日)