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長谷工マンションが変わる

「基本性能の充実」「可変性」「環境+防災」備えた

「Be−Next(ビーネクスト)」


「ブランシエラ検見川浜 マイム」完成予想図

第一号「ブランシエラ検見川浜 マイム」に搭載

 長谷工マンションが変わる ―― 長谷工コーポレーションは2月24日、「基本性能の充実」「可変性」「環境+防災」の3つのコンセプトを提案した次世代マンション企画「Be−Next(ビーネクスト)」を開発し、その第一号マンション「ブランシエラ検見川浜 マイム」の記者発表会・内覧会を行った。

 「基本性能の充実」では、部屋内に柱・梁型がでないアウトフレーム工法を、バルコニー側の開口部には扁平梁をそれぞれ採用することで2200ミリのハイサッシを設け、無駄のないすっきりした住空間を実現した。

 「可変性」では、中住戸の間口寸法や水周りの配置を規格化しながら、これまで変更できなかったキッチンレイアウトを変えられるようにし、縦長リビング、横長リビングの選択など1住戸で最大50プランの選択を可能にした。住戸の間口は約6.3メートル。

 「環境+防災」では、玄関ホールに通風を確保する「窓付き玄関」を、廊下側の窓には通風とプライバシーを両立したサッシ「ブリーシア」を、バルコニーには光と風を取り込む「スダレ&ガラス手すり」をそれぞれ設置。非常用飲料水生成システム・非常用マンホールトイレ・かまどスツールの「防災3点セット」も採用する。

 記者発表会で挨拶した同社住宅開発事業部事業部長・大岡修平氏は、「Be−Next は、 2009年3月に発表した基本性能を確保しながら多彩なオプションと広い住空間を実現した『Be−Liv(ビー・リブ)』の発展型で、一般のお客様に評価していただくよう実験の意味もあり、長期優良住宅と同様、自社分譲にした。今後、デベロッパー向けにも普及を図っていく」と語った。

 物件は、JR京葉線検見川浜駅から徒歩15分、千葉市美浜区真砂5丁目に位置する11階建て全65戸の規模。専有面積は83.16〜90.50u、予定価格は2,600万円台〜3,800万円台(最多価格帯3,200万円台)、坪単価は125万円の模様。施工は同社。竣工予定は2013年3月。販売開始は3月上旬で、1期分譲は30戸を予定。販売代理は長谷工アーベスト。


窓付き玄関

◇   ◆   ◇

 長谷工マンションは確実に変わるという印象を受けた。「Be−Next」を採用することで、コストがどうなるかが最大の関心事だが、関係者によると「ほとんど変わらない」ということだった。コストを変えずに可変性、基本性能、その他の充実を実現したのだから、間違いなく訴求力がある。

 可変性では、段差スラブに工夫を凝らすことで、キッチン排水ルートを変えることができ、縦長リビングと横長リビングの選択を可能としている。キッチンを自由に設置することはできないが、階高を上げなくても直床でも可能だという。

 基本性能では、扁平梁、アウトフレーム工法はかなり普及しているが、従来、同社施工のマンションに多かった廊下側も柱を住戸の外に出すことによってすっきりした住空間を実現した。また、玄関の両サイドに袖壁を設置することで、開放廊下側の窓の開口部を大きくし、さらに柱と袖壁の空間を「オープンポーチ」として利用できるようにしている。

 環境性能の向上では、通風とプライバシーを両立させた「スダレ手すり」がいい。「スダレ手すり」に似たものは、隈研吾氏が三井不動産レジデンシャルの「神楽坂」の定借マンションで採用していたのを見ている。「これはいい」と思った。隈氏のデザインは縦格子で、L型の鋼材の取り付け方や間隔を変えることで、外から見る位置で表情が変わるように工夫されていた。長谷工は横ルーバーだ。

 「窓付き玄関」の提案もいい。これは、工夫次第では玄関・玄関ホールとはまた違った多目的に利用できる空間提案につながりそうで、将来的には玄関の位置そのものも変えることになるかもしれない。

 窓は玄関ドアの横に設置されているもので、寸法は縦295ミリ、横165ミリ。その下のFIX窓も防犯合わせガラスを採用しており、寸法は縦1425ミリ、横235ミリ。光を取り込むとともに防犯性も備えている。夜間はともかく、昼間はドアの開閉ごとに玄関灯を灯さなければならないストレスから開放されるかもしれない。

 玄関も、 FIX 窓を生かすために下足入れを設置しておらず、幅1.38メートル(奥行きは2メートルくらいある)の空間を提案している。下足入れを設置しない人はいないだろうが、これも「E−label (えらべる)」から設置できる。

 キッチンのカウンターには、アクリル人工大理石より機能的に優れ、デザイン性にも優れている指紋レスメラミン化粧板「セルサス」が採用されている。


リビング

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 難点は、住所が「千葉市美浜区」でも分かるように、液状化が心配される埋立地という立地だ。同社が用地を取得したのは震災前で、施工に当たっては地盤調査を行い「軽微」の結果が出たそうだが、拡底杭を採用することで震災対策も施したという。

 記者は「千葉市美浜区」の立地がどれほど影響があるか読めないが、単価は土地代がただぐらいだし、これほど盛りだくさんな工夫を凝らしているのだから、3カ月ぐらいで完売すると見たがどうだろう。

(牧田 司記者 2012年2月27日)