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一建設など元飯田建設工業・OB会社6社が経営統合

売上規模は住友不動産を抜き不動産業3位に

 一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社は12月25日、経営統合を行うことで合意に達し、来年11月に持ち株会社を設立し、6社がその完全子会社として傘下に入ると発表した。

 住宅・不動産事業の事業環境は、人口・世帯数減少による中長期的な住宅市場の縮小が予想され、他業界からの戸建分譲市場への新規参入による競争が激化する一方で、中古住宅リフォームなどのストック市場の拡大や新興国の経済成長による新たな都市開発・住宅需要の拡大が見込まれることから、経営統合により本業の建売住宅部門で競争力のいっそうの強化を図るとともに、リフォーム・仲介など成長市場への参入を目指すためとしている。

 現在の6社の会社概況をそのまま合わせると、資本金は195億円、従業員数は3,800人、売上高は7,789億円。ハウスメーカーを除く不動産業の売上高は住友不動産の6,886億円を抜き、三井不動産、三菱地所に次ぐ業界3位となる。

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 青天の霹靂だ。イエス・キリストの「降誕祭」の日にふさわしいのかどうか、ビッグニュースが飛び込んできた。建売住宅大手6社、しかもすべてが元飯田建設工業(現一建設)から枝分かれしたOB会社が合併するという。さっぱり訳が分からない。いったいどうなるのかも分からない。

 狙いは分からないではない。しかし、ことはそううまく運ぶのか。いま正確に数字を把握する余裕はないが、この6社の建売住宅供給量は2万戸を超える。首都圏だけでいえばシェアは30〜40%ぐらいではないか。40%のシェアを占める会社が合併したら市場はどうなるのか。

 記者は両刃の剣だと思う。単純計算にはならないのではないか。市場は売上規模だけでその会社を評価しない。これまではお互いが競い合ってそれぞれ売り上げ・戸数を伸ばしてきた。競争が成長の原動力であった。一緒になったからといって、従来どおりの力が発揮できるのかも疑問だ。もとは同じ飯田建設出身だが、それぞれ経営姿勢、コンセプトも微妙な違いがある。一建設グループと見られることを極度に嫌う会社もある。

 6社が競っていた建売り用地が一社になるのだから理論的には用地取得価格は下がり、さらに価格競争力は強まるかもしれないが、同じような商品ばかりになったらユーザーはどのような反応を見せるかわからない。企業規模は大きくても、商品企画力は大手に圧倒的な差をつけられている。(徹底した低価格路線が成功しているのだから、商品企画が劣っているとはいえないのかもしれないし、もともと大手と競争はしていないが)

 また、これらの会社はマンションも手がけるが、一次取得層向けマンションは大手の参入で中小はジリ貧の一途だ。マンション市場でユーザーに評価されるのもまた簡単ではない。

 新しい分野への参入、例えばリフォーム、仲介事業は6社が手を組めば伸びる可能性はありそうだ。マンションは圧倒的に大手が強いが、戸建て中古は中小、地場業者がまだまだ強い側面もある。

飯田グループ 建売住宅市場を席巻 年間2万棟販売(2010/2/23)

(牧田 司記者 2012年12月25日)