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農水省「ジャパンフードフェスタ 2012」に18万人


「ジャパンフードフェスタ 2012」(丸の内仲通りで)

 わが国の農林漁業・食品産業・農山漁村が持つ素晴らしい価値を広く国民・世界に伝えていく農林水産省「食と農林漁業の祭典」が11月から12月にかけて都内・京都の各地で行われるが、三菱地所が協力企業となっているキックオフイベント「ジャパンフードフェスタ 2012」が11月3日と4日、東京・丸の内仲通りから有楽町周辺で行われた。2日間で約18万人が訪れた。

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 「食」や「農」の価値をアピールすることは「森林・林業の再生」にもつながることなので3日、会場となっている東京丸の内仲通りから有楽町まで歩いた。東京駅舎の一部の復原工事が完了したことも手伝って、東京駅丸の内口は人でごった返していた。10年前に三菱地所・丸の内ビルが完成してからこの界隈の人の流れが一変した。

 マーケティング会社ワンズの首都圏乗降客上位200駅を対象とした「成長駅商圏ランキング」調査によると、商業人口増加数ランキングのベスト5は@大手町A東京B有楽町C銀座D日比谷となっている。大手町の2007年の商業人口は約58万人で、2004年比で約27万人増加した。東京も約23万人増の約93万人だ。

 集客力の核になっている三菱地所の丸ビルは開業前と比べると商業店舗が820店舗(540店舗増)と約2.9倍となり、通行量も平日約25,000人増、土日では約42,000人増となっている。

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 かつては土曜、日曜日ともなればほとんど人通りのなかったビジネス街で「食」や「農」の価値を訴えるイベントが行われるという不思議さに複雑な思いを抱きながら街を歩いた。

ティファニーの店の前で江戸前のアサリ汁と釜飯を売る

  
ティファニーの店の前で釜飯とアサリ汁を売る亀石氏

 まず目に飛び込んできたのが、ティファニーが出店する丸の内仲通りビルの目の前で釜飯とアサリ汁を売っている「江戸前漁師を元気にする会」だった。ボートスタッフ・亀石幸弘氏が出店したものだ。亀石氏の本業は小型ボートの販売・修理・ボート免許教室などだが、羽田空港周辺の環境保全、観光業の推進、水辺の賑わい、防災・ボランティアリーダー育成など幅広い活動を精力的にこなしている人だ。

 アサリ汁は、亀石氏が住んでいる羽田で獲れたアサリを使用しており、これが抜群においしい。市販されている粒ぞろいではなく大きいのやら小さいのやらが混じっていたが、味が濃厚で潮の香りが鼻腔を満たした。羽田のアサリは厳しい環境の中で育ったためおいしい味がするのだと思った。昔は「雑魚」を味噌汁の出汁に使ったというから、これが本来の出汁に使うアサリなのだろう。

廃棄されていたごぼうを「お茶」として商品化 街の活性化にも貢献 Growth


「ごぼう茶」を販売するGrowth・須藤勝利社長

 次に紹介するのはごぼうの生産量が日本一という青森県三沢市の「Growth」(須藤勝利社長)が出店した「ごぼう茶」だ。これがまた香ばしい香りがしておいしい。

 詳細は同社のネットなどで調べてほしいが、市内で生産される約15,000トンのうち規格品にならず廃棄されていた約2,000〜3,000トンのごぼうをチップ状にして商品にしたものだ。生産工場はシャッター商店街を利用し、従業員には身障者を採用するなどして地域の活性化にも貢献している。いわば一石三鳥の取り組みだ。ごぼう茶を飲んだ後の出がらしは炊き込みご飯にも利用できる。40gで1,240円。

害獣のシカの肉をコロッケ・カレーに  三重県度会(わたらい)町

  
シカ肉のコロッケを販売する三重県度会町のブース

 うれしいことにわが故郷・三重県度会(わたらい)町も出店していた。「度会茶」と「鹿のコロッケ」の販売だ。「度会茶」は「静岡茶」やら「宇治茶」やらに押されてブランド力はないが、四万十川より美しい宮川から湧き上がる川霧がお茶の生育に適しているという。

 「鹿のコロッケ」は1個100円。どこの山間農地でもそうだが、鹿による農作物の被害が大きくなり、捕獲した鹿の肉を利用できないかということから開発されたものだ。鹿肉はともかく、ジャガイモは食感が残るようにし、もう少しカラッと上げるともっとおいしくなると思った。「度会」には「わたらい」とルビをつけないと東京の人はほとんど読めない。

 三重県、度会町、度会町商工会(女性部)、ヤマト運輸、カレーハウスCoCo壱番屋が連携し商品化した「シカコロオチャメカレー」にも鹿肉が使用されているという。低カロリー高タンパクで鉄分も多く含むというから、スーパーなどで販売できるようにならないのか。(鹿肉は凍らせて刺身にして食べるのが一番おいしいが、E型肝炎ウイルスとの関連も指摘されており、生肉は流通していない)

森林−農業−漁業をつなげる 三井物産 生物多様性を数値化


茨城県の休耕地で獲れた米で酒を造っている三井物産

 三井物産も「東北の惠みの魅力を発信」するコーナーに出店していた。いうまでもなく、同社は日本国土の0.1%、約4.4万haの社有林を有するわが国3番目の山持ち企業だ。全山で国際基準のFSC認証を取得し、様々な生物多様性にも取り組んでいる。

 海外では生物多様性を数値化した指標により経済価値を評価する「TEEB」の取り組みがあり、同社がその先導的な役割を果たすことが期待されている。

 森林−農業−漁業はつながっており、生存基盤の生物多様性を守ることがいかに大事であるかを、わが国は3.11を通じて学んだ。マイナスをプラスに転換するチャンスととらえれば展望も開けてくる。

 同時に行われた農業高校生たちのフードバトル「ご当地!絶品 うまいもん甲子園」は京都府・桂高校が農林水産大臣賞を、北海道・岩見沢農業高校と三重県・相可高校がそれぞれ食料産業局賞を受賞した。


「ご当地!絶品 うまいもん甲子園」の会場となった有楽町イトシア前広場

(牧田 司記者 2012年11月5日)