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大京「グランアルト越谷レイクタウン」

駅前の一等地で坪単価130万円を切る模様


「グランアルト越谷レイクタウン」完成予想図

 大京は10月24日、「越谷レイクタウン」で開発中のマンション「グランアルト越谷レイクタウン」記者発表会を開き、マンションギャラリーを12月1日にオープンし、第1期販売を12月中旬に開始すると発表した。駅から徒歩2分に立地し、敷地南側は大きな調節池。「一次取得層向けに建築費のコストダウンを図り、なおかつ品質を確保した」のが特徴。

 物件は、JR武蔵野線「越谷レイクタウン」駅から徒歩2分、越谷市東町四丁目に位置する8階建て全381戸の規模。専有面積は65.10〜95.08u、予定価格は2,400万円台〜4,500万円台、予定坪単価は130万円を切る模様。竣工予定は2014年1月28日。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理に住友不動産が名を連ねている。

 発表会の冒頭に挨拶した同社執行役員首都圏第一支店長・世利幸仁氏は「長谷工コーポレーションとタイアップして、同社施工の従来マンションと比較して20%のコストダウンを実現したが、品質はこれまでと同様のグレードとしている。物件名の『グランアルト』は住友不動産との共同開発、共同分譲のときに使用する名前で、これまで9棟を供給しているが、今回は基本計画監修と販売代理をお願いしていることもあり、『グランアルト』を使用した」と話した。

 低価格を実現できたのは、スパンの均一化と壁にALC板を採用し、躯体の重量を軽くしたのが主な要因という。

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 世利氏や関係者の話、モデルルームを見学して率直に思ったことを記そう。

 まず、この「越谷レイクタウン」について。この街は、開発に着手したのが昭和63年で、事業完了が平成26年。開発規模は約225.6ha、計画人口約22,400人、計画戸数約7,000戸だ。

 国際環境計画が承認する「環境に配慮した住みよいまちづくり」に関する世界で唯一の国際表彰制度「リブコムワード 2009」で金賞を受賞し、また、「2011 ショッピングセンターアワード」でサスティナブルデザイン部門の最高賞を受賞したと発表があった。確かにきれいな街だと思う。

 しかし、事業が進行中とはいえ、計画は遅々として進行していないように思う。駅北口にはマンションが2物件完成し、立派なイオンもあるが、大京のマンションが建つ駅南側は、民有地で賃貸マンションが建設中なのと、駅前に住宅展示場が計画されている以外、その他のマンション、商業施設、戸建て計画はほとんど進んでいないようだ。

 この事業を主導するUR都市機構に聞いたが、今回のマンションの東隣のマンション用地約1.7ha、さらに西側のもう1カ所約1haの売却は決まっていないとのことだ。双方を合わせると800戸ぐらいでないか。

 戸建て用地も、調節池の周りは200u、それ以外は150uという区画面積の最低条件が売却の要件になっている以外の詳細は聞けなかった。

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 大京の商品企画について。

 プロモーションビデオでいきなり画面の横から鈴木福くんが別のガラスのようなスクリーンにナビゲータとして飛び出してきたのにはびっくりした。昨日の三井不動産レジデンシャルの「東雲」はアニメだ。住宅とは全く関係のないファッションやらスイーツやらロボット掃除機やらとのコラボもそうだが、このところのマンションギャラリーはどうかしている。記者は全く理解できない。

 モデルルームではやや物足りないものを感じた。これは、同社のここ数年の商品企画は素晴らしいものがあり、期待がそれだけ大きいからなのだが、もう少しこれが大京の新しい郊外ブランド≠ニいうものを前面に出してほしかった。

 野村不動産の「オハナ」も同じ長谷工施工で、「プラウド」の仕様とは異なるそれこそ贅肉を殺ぎ落とした≠烽フだが、第一弾の「八坂萩山町」も第2弾の「平塚桃浜」もなるほど≠ニいうものが盛り込まれていた。第3弾の「豊田多摩平」は見学する前に瞬く間に売れた。

 記者はここ数年の商品開発競争は野村不動産と大京が先頭に立ってきたと思う。今回の「越谷」が竣工までに売れることを期待したい。前面の調節池がどれぐらいの規模かは分からないが、予想図からは相当の規模になるはずだ。水生動植物と日常的に親しむことが出来る水辺の暮らしがどんなに素晴らしいものかを訴えきれるかどうかだろう。

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 また、URに戻る。TXもそうだが、バブル崩壊後ほぼ一貫して地価が下がり、少子高齢化が加速度的に進行し、都市間競争が激化し、景気の低迷が続くこの時代に、新駅をつくり住宅を建設して街をつくろうなどという手法はとっくの昔に捨てるべきだった。駅前の一等地で坪130万円のマンションというのは土地代が限りなくただに近い。駅前には住宅展示場も建設される予定と聞いたが、駅前の商業地域に一戸建てのモデルハウスが建つなんて記者の常識にはない。

 まあしかし、こんな愚痴など言っても始まらない。今回のマンションの竣工までには駅前の形も見えて来るだろうし、URは調節池や道路も完成させるはずだ。立派な水辺を造り、みんなが住みたくなる街にし、次に続くデベロッパーが現れるようにして欲しい。

(牧田 司記者 2012年10月24日)