RBA HOME> RBAタイムズHOME >2012年 >

上大岡に爽やかな風が吹いた

旭化成ホームズ「しぜんごこちの家」


「しぜんごこちの家」

 旭化成ホームズくらしノベーション研究所は10月20日、 “自然の心地よさを楽しみながら暮らす” ことを提案する「しぜんごこちの家」のモデルハウスをオープンする。オープンに先立つ18日、報道陣に公開した。

 モデルルームは、旭化成不動産レジデンスが開発している「アトラス上大岡」の戸建街区に建設されたもりので、「街かどへーベルハウスアトラス上大岡ガーデン」として旭化成ホームズがヘーベルハウスの新築請負受注活動に使用した後、建売住宅として販売される予定。

 「しぜんごこちの家」のコンセプトは、「都市にある自然を上手に取り入れることで、心地よい暮らしを生み出していく家」。住まい手自身が積極的に都市の自然に近寄り、関わることができる仕掛けを提案しているのが特徴。「自然をとりいれる」「自然にあわせる」「家族を自然につなぐ」という3つの言葉で表現している。

 建物は、京浜急行線上大岡駅からバス10分、徒歩4分の全33区画の戸建街区の一角にあり、1階床面積77.24u (23.3坪) 、2階床面積52.79u (15.9坪) 、合計130.03u (39.3坪) 。価格は7,000万円台の半ばになる模様。


LDK

◇     ◆    ◇

 現地のモデルハウス内では、同研究所主幹研究員・村松浩氏が「へーベルハウスの躯体性能だけでなく、住まい方、設計の細部までの奥深いこだわりを形にした」と建設の経緯について話し出し、「かぜの『かた』」「奥の間」「ひかりの『かた』」「窓の場」「人がつくり出すアクティブ」「見える場・隠れる場」など俺の話は同じ言葉を使っても意味はまるで違うんだ≠ニ言わんばかりの独特の言い回しで熱っぽく語った。

 記者は、この話を同社のくらしノベーションフォーラムでも一度聞いており、企画意図は十分理解していた。どのように具現化されているのかを見学するのが目的だった。

 一見して、デベロッパーが分譲する不特定多数向けのモデルハウスとはまったく異質なものだった。驚嘆の間取りともいえるものだった。敷地東側の道路に面したところに中庭を配し、建物はそれを取り囲むように配置されていた。玄関を入ってすぐ右手にその中庭が眺められるようになっており、左手はリビング、その奥がLDKだ。南側には「窓の場ベンチ」が設置されており、ダイニングテーブル、キッチンとつながっている。

 南の窓側に腰掛ベンチがあったのにも驚いたが、その隣にダイニングテーブルというのはまずお目にかかれないものだった。

 もっとも驚いたのは「ジョイントフロア」と呼ばれる不思議な空間だった。リビング階段下を利用したもので、東側の中庭とも窓でつながっており、床からの高さが約40センチ、寸法は約1.2m×約2.7mだ。床からそのスペースの間は収納にもなっていた。階段下をこのような空間にしているのは初めて見た。中庭−不思議空間−リビングがつながっていた。

 もう一つは、キッチンとつながっている 4.5 畳大の床上げタタミ室の間に「板の場カウンター」が設けられていたことだ。障子を閉めればこのタタミ室は個室としてももちろん使えるのだが、主夫(もちろん主婦も可)なり子どもなりが調理をする主婦(これも主夫もあり)と向き合って語らいながら、あるいは勉強するのを見ながら会話が交わせるようになっているのがミソだ。

 もう一つの不思議の空間は、キッチンの間仕切りキャビネットの裏にある「床下げデスクコーナー」だ。多目的に利用できるスペースで、ひとりで読書をするもよし、親に怒られてこもるスペースにも最適だ。

 村松氏が話したように、このモデルハウスには光の移ろいとともに「居場所」を変え、見えるようで見えない家族同士の微妙なコミュニケーションが図れる工夫が施されている。確かに室内にいても上大岡の心地よい風が吹いていた。村松氏がどうしてあれほど熱を込めたのかも十分理解した。


コンセプトについて話す村松氏

  
左から「ジョイントフロア」、「板の場カウンター」付きの「床上げタタミ室」、「板の場カウンター」(手前)とキッチン

「くらしノベーション」の知見生かす「アトラス上大岡」(1/26)

(牧田 司記者 2012年10月18日)