RBA HOME> RBAタイムズHOME >2012年 >

 大和ハウス「プレミスト」 大手の一角に食い込むか

野村不動産の前副社長・高井氏が役員に就任

 

 大和ハウス工業のマンション事業を統括する上席執行役員に野村不動産の副社長だった高井基次氏が10月1日付で就任する。高井氏は野村不動産の「プラウド」ブランドを立ち上げ、マンションのトップブランドに成長させた最大の功労者。昨年3月31日付で副社長を退任していた。

◇     ◆     ◇

 このニュースには驚いた。今日(20日)、同業の記者から教えてもらってはじめて知った。大和ハウスからは発表があった9月14日付で人事異動のリリースをメールで送ってもらっていたのだが、失念というよりは、忙しさにかまけて読まなかったのだ。

 同社は、この役員就任について具体的に何も情報を開示していないが、同社のマンションブランド「プレミスト」について全面的な商品企画の見直しを行い、他のマンションデベロッパーに負けないブランドを構築しようという狙いがあるのは間違いない。高井氏は年齢もまだ63歳と若くハンサム。マンション商品企画についての情熱はいささかも衰えていないはずだ。動くはずだとは思っていたが、これは読めなかった。

 記者も、同社は全面的な商品企画を見直すべきだと以前から思っていた。素晴らしい億ションも供給すれば、デザイン性に優れたものも供給している。しかし、その一方でやや見劣りのするコンパクトマンションも供給している。それが同じ「プレミスト」ではユーザーの支持は得られないと思っていた。同じハウスメーカーでは積水ハウスは「5本の木計画」を徹底して商品に盛り込んでいるし、旭化成不動産レジデンスは建て替え・再開発で他社をリードしているのに、同社には特徴がない。マンション業界は大手志向が加速している。しっかりブランド構築しないと、その他大勢の中に埋没してしまうことになる。

◇     ◆     ◇

 高井氏の役員就任によって「プレミスト」ブランドがどうなるか現段階ではなんとも言えないが、面白いことに他の大手デベロッパーのマンションブランドはなぜか「ハ行」が多い。野村不動産は「プラウド」、三井不動産レジデンシャルが「パークホームズ」「パークシティ」だし、三菱地所レジデンスは「ザ」が付くけれどもそれまでは「パークハウス」だった。東急不動産は「ブランズ」だし、東京建物は「ブリリア」だ。ここに大和ハウスの「プレミスト」が加わるのか。マンション業界は益々面白い展開になってきた。

(牧田 司記者 2012年9月20日)