RBA HOME> RBAタイムズHOME >2012年 >

三井不動産リフォーム 「スマートリノベーション」実験住宅オープン


実験住宅をオープンする「北参道ダイヤモンドパレス」

 三井不動産グループの三井不動産リフォームは9月15日、「スマートリノベーション」を体感できるモデルルーム(実験住宅)を築 29 年のマンションの一室でオープンする。オープンに先立つ13日、報道陣に公開した。

 「三井のリフォーム スマートリノベーション」とは、エコ機器の組み合わせ主体の従来のスマートハウスとは一線を画し、住宅の基本性能である通風・採光・動線・断熱などの各種パッシブデザインを提案し、その上でエコ機器を導入、さらにエネルギー利用の最適化を促すことでサスティナブルな暮らしをサポートすることを目指すもの。

 モデルルームは、築29年の老朽化したマンションをスケルトンリフォームし、先にリフォーム会社としては同社が唯一採択された国交省「平成24年度第1回 住宅・建築物省CO2先導事業」や「スマートリノベーション」の要素をふんだんに盛り込んでいる。また、設備・仕様などはグループ内の三井不動産レジデンシャルの最新の新築マンション仕様と同様の「MOCリフォーム仕様」を採用している。

 現地は、 JR 山手線代々木駅から徒歩4分、渋谷区千駄ヶ谷4丁目に位置する昭和58年に竣工した11階建て「北参道ダイヤモンドパレス」の1室。専有面積は74.34u。工事費は約1,200万円。

  
断熱材の比較                            パウダールーム

◇     ◆     ◇

 モデルルームは、共用部分である躯体と玄関ドア、一部のサッシを除きほとんどすべてリフォームされている。新たに使い勝ってのよいシューズイン&ウォークスルークローゼットやサンルームを設け、バスルームの位置も変更し、排水勾配なども計算した上で低床バスを実現している。サッシは、既存のサッシに新しいサッシを被せるカバーサッシに変更し、 Low − E ペアガラスと透明ガラスとの比較なども体感できる。

◇     ◆     ◇

 このマンションは、分譲時に取材したような気がする。売主は丸善建設で、施工はフジタ。当時はマンションの売れ行きが悪いときで、狂乱地価の前だった。坪単価は200万円を割っていたはずだ。それでも、山手線の内側という希少性からそこそこの人気になったような記憶がある。丸善建設はバブル崩壊後に消えてしまったが、それまでは中堅マンションデベロッパーとして結構マンションを分譲していた。

 今回、全面的にスケルトンリフォームしたことで工事費は1,200万円(坪当たり約53万円)かかっているとのことだが、その価値はあると思う。ただ、この工事費をそのままこのマンションにオンして売れるかどうかは記者はわからない。グロス価格もそれなりの価格になるはずで、丸善建設と施工のフジタ、築29年の中古マンションということをユーザーがどう評価するか。もっと単価水準の低い準郊外・郊外マンションなら1,200万円の工事費は決して高くないと思う。

  
キッチン(床の遮音等級はLL-40)                       サンルーム (天井には物干しポールがある)

(牧田 司記者 2012年9月13日)