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情報の非対称性克服とレインズ充実求める

国交省「不動産流通市場における情報整備のあり方研究会」中間とりまとめ

 国土交通省は8月28日、第4回「不動産流通市場における情報整備のあり方研究会」を開き、中間とりまとめ(案)を報告した。

 中間とりまとめは10ページにわたるもので、不動産流通市場の「情報の非対称性」を克服するための方策や不動産流通システムの中核である指定流通機構(レインズ)の情報提供の活用やあり方について方向性が示されている。

 不動産流通市場の情報整備の必要性については、成約価格に関する情報、履歴情報などの情報ストックをインターネットによって提供可能な仕組みを整備すれば、物件滞留時間も短縮されると指摘。また、情報ストックの整備・提供は、欧米諸国からの投資環境を整えることにつながるとしている。

 レインズについては、登録必須項目以外に求められる施工会社名、分譲会社名などの項目の登録率が50%未満となっており、個人情報保護の観点から蓄積される情報の活用の難しさ、円滑な物件情報の流通を阻害する媒介活動などの問題を指摘している。

 今後の方向性としては、平成 25 年度で予算措置を講じ、専門的見地から調査・研究を行い、システムの構想を策定するとともに、レインズの運用のあり方について引き続いて検討・整備を進めることを求めている。

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 不動産流通市場の情報整備については異論はない。透明性を高めて一般消費者に分かりやすい情報を提供すべきだろう。その意味で、期待したいのが「レインズ情報」の充実だ。

 現在提供されているレインズ情報は膨大な物件情報が蓄積されており、中古市場の傾向や単価相場などはよく分かる。しかし、実際に物件を購入しようと考えた場合、知りたい具体的な情報はあまり得られないのではないか。

 登録項目もその一つだ。中間とりまとめでも指摘されているが、新築だろうと中古だろうとマンションの事業主はもちろん施工会社や設計・監理会社、管理会社などは極めて重要な情報だ。記者はいつも物件概要でおおよその単価をはじき出し、事業者、施工会社、設計会社などで物件のレベルを予想する。レベルの高い物件は間違いなく中古市場で高い評価がされるはずだ。しかし、これらの重要な情報が登録されている物件は50%未満というのには驚いた。事業主も施工会社も分からないで取引することなどありえない。

 このことだけでもレインズは改善の余地が大きいことがわかる。現在公開されている検索項目のほかに事業者、施工会社、設計会社、さらにはマンションのブランド名などでも検索できるようになったら一般の人の利用率は飛躍的に高まるだろう。さらに、民間調査機関が行っている新築情報ともリンクさせれば、わくわくするような情報が得られる。

 ただ、情報を公開すればするほど消費者の意識も高まるだろうから、業者の存在価値が問われることにもなる。業者間で情報を秘匿≠オているからこそ、業者主導の取引きができるのも否定できない事実ではないか。

(牧田 司記者 2012年8月29日)