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川口で「東急+三井+鹿島」の再開発マンション


「サウスゲートタワー川口」完成予想図

物件の魅力をいかに訴えるかが値決めポイント

 東急不動産(事業比率55%)と三井不動産レジデンシャル(同45%)は、参加組合員として事業参画している川口市の再開発マンション「サウスゲートタワー川口」のモデルルームを9月6日にオープンし、11月中旬に販売開始するが、モデルオープンに先立つ8月22日、記者見学会を行った。

 物件は、JR京浜東北線川口駅から徒歩9分、川口市金山町の「川口金山町12番地区第一種市街地再開発事業」エリアに位置する敷地面積約8,500uの31階建て全360戸(非分譲13戸含む)の規模。専有面積は55.23〜100.40u、価格は未定。設計・監理コーディネートはジーエー建築設計社。施工は鹿島建設。

 従前の現地は工場や未接道宅地などが混在していたエリアで、再開発事業は道路の整備や住工混在の解消を図り、子育て支援、高齢者対応の街づくりを進めるために行われているもので、施行面積は約1.1ha。平成13年ごろから取り組みが行われており、同22年に都市計画決定されている。

 敷地内には高層タワー棟、低層商業・業務棟のほか地域住民が利用できる広場や遊歩道も整備され、防災拠点としての役割を担うのが大きな特徴の一つだ。

 災害時には帰宅困難者受け入れのための備品やマンホールトイレ、防災テント、かまどベンチなどを設置する。タワー棟は5フロアごとに防災備蓄倉庫を設置し、災害時には最大72時間稼動できる非常用発電や4人家族で約7日分の生活用水も確保する。建物は鹿島の制震装置を採用する。また、地球環境への配慮としてはエネルギーの見える化を進める。埼玉県の「CASBEE 埼玉県 2011」で星4つを取得している。

 住戸プランは40〜70uの小世帯・ファミリー向けが中心で、80u以上は7.5%(27戸)しかない。廊下面積を極力少なくした効率的なワイドスパンが特徴。


広場(左)と低層棟の屋上庭園

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 物件の最大の特徴は、ひと言で言えば川口市内で初の安心・安全・環境配慮のタワーマンションであることだ。市内には1992年に竣工したUR都市機構の大型団地「リプレ川口」を除けば、東急不動産が分譲した1994年竣工の「東急ドエルスカイマークタワー川口」(130戸)を筆頭に民間タワーマンションはこれまで16棟約4,000戸が建設されているが、震災後では初のタワーマンションとなる。これほど防災に力を入れているマンションは市内にはない。

 もう一つは、規模的にも5本の指ぐらい大規模なものということだ。市内には敷地面積が約7.4haもある大京の「エルザタワー55」(650戸)のほか有楽土地「オーベルタワー川口」(421戸)、大京「エルザタワー 32」(389戸)など敷地や戸数で上回るものがあるが、今回のマンションは規模的にはこれらに次ぐ規模だ。

 鹿島の川口の施工物件としては3棟目で、「東急+三井+鹿島」の組み合わせとしては三井不動産レジデンシャル・東急不動産「イーストゲートタワー川口」(188戸)に次ぐ2棟目だ。 

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 最大の関心事は価格がいくらになるかだ。関係者によると値決めは最終段階にあるようで公表はされなかったが、「イーストゲートタワー川口」が参考になるとのことだった。

 「イーストゲートタワー川口」は2010年の竣工で、駅から徒歩4分、坪単価は215万円だった。これを上回るかどうかだが、当時より市況は回復しているとはいえ、今回は「徒歩9分」だ。同じ沿線の南浦和や埼京線の最近の物件なども考慮すれば、坪単価200万円を超えることはないとみたがどうだろう。ただ、仮に坪200万円として計算しても最多価格帯は4,200万〜4,300万円台に収まるので価格的な訴求力はある。80u台以上がわずか27戸というのは、グロス志向が強い地元の需要動向を考えてのことだと思う。

 参考にはならないが、いま住友不動産が高崎線上尾駅前で分譲している「シティタワー上尾駅前」は坪190万円だ。「徒歩9分」とはいえ川口は、荒川を挟んだ隣接の赤羽駅圏は坪200数十万円はするエリアだ。いったいいくらになるのか、関係者ならずとも気になるところだ。物件の魅力をいかにわかりやすくアピールできるかが値決めのポイントだろう。

                      

設備仕様は郊外マンションとしては水準以上で、ワイドスパンのプランがいい。逆梁と順梁を使い分け、部屋内の出っ張りを少なくしているのもいい。ドアはイタリア製で浮造調仕上げだ。

 

(牧田 司記者 2012年8月23日)