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住友不動産「シティタワー上尾駅前」 1期115戸が即日完売


「シティタワー上尾駅前」完成予想図

 住友不動産は8月8日、JR高崎線上尾駅前の「上尾中山道東側地区第一種市街地再開発事業」によるマンション「シティタワー上尾駅前」(全297戸)の第1期1次90戸と追加販売した第1期2次25戸、合計115戸が即日完売したと発表した。以前から見学しようと思っていたマンションなので早速見学した。

 物件は、 JR高崎線上尾駅から徒歩2分、上尾市宮本町・上町一丁目に位置する28階建て全297戸の規模。1期の専有面積は56.89〜75.15u、価格は2,990万〜5,190万円(最多価格帯4,100万円台)、坪単価190万円。竣工予定は2012年12月中旬。設計はアイテック計画。監理はアイテック計画・松田平田設計。施工は大成建設。販売期間は7月30日〜8月3日で、これまでの問い合わせ件数は1,400件を超え、ゴールデンウィークにオープンしたマンションギャラリーへの来場者は約800組。

 人気の要因は、言うまでもなく駅前の再開発マンションということだ。駅とマンションはぺディストリアンデッキで結ばれ、1階から3階までは店舗・事務所が入居する。建物は制震構造。住居は3階以上の東南向き・南西向きが中心で、ワイドスパンが特徴だ。

 もう一つ、人気の要因になったと思われるのは大宮以北の高崎線ではリーマンショック後、見るべきマンションがほとんど供給されておらず、品薄感があることだ。上尾駅圏でみると供給は4年振りということだった。いわば空白区での分譲が人気に拍車をかけた。

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 分譲単価は高いような気がしないではない。現在分譲中の埼京線の北戸田駅前マンション近鉄不動産・大京「北戸田ファーストゲートタワー」は178万円だ。しかし、大宮を起点に考えれば、北戸田と上尾を比較した場合、上尾のほうが高いというのもうなずける。北戸田は再開発の将来の設計図がまだ描ききれていない。その分、上尾は完全に熟成しており、生活利便施設も整っている。また、再開発マンションの場合は単棟型のマンションとは別の指標で単価を考えないといけない。その意味では妥当な単価とも言えそうだ。

 マンション空白区の駅前再開発マンションという物件特性は、申込者の属性にも反映されている。現居住地は上尾市・桶川市・北本市・さいたま市で全体の74%を占めているように、大宮以遠の居住者が圧倒的に多いことが分かる。また、年齢構成では30歳代以下が32%、40歳代が20%、50歳代が20%、60歳代以上が28%と多世代に分布している。

 エリア的には質を問わなければ3,000万円も出せば戸建てが購入できるエリアだが、そのような戸建てに満足できないマンション派が申し込んだことが容易に想像できる。戸建てからの買い替えや買い増しが目立つというのもそのような理由からだろう。

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 現地を訪ねて考えたのは、再開発の難しさだ。再開発準備組合が設立されたのは昭和61年というからバブルの発生の頃だ。その後、バブル崩壊があり、経済の後退・マンション市況の悪化などがあり事業計画の変更を迫られたりなどして準備組合は2度解散している。そして、現在の再開発組合が設立されたのは平成18年だ。住友不動産はこの時点で事業参画した。その翌年にリーマンショックの直撃を受け、さらに事業計画の変更を余儀なくされたという。

 事業にリスクは伴うものとはいえ、この間、2度も3度も計画変更がなされている。参加組合員の心労を思うと胸が詰まる。

(牧田 司記者 2012年8月9日)