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6月の住宅着工 気になるマンションの着工減と単価上昇

 国土交通省は7月31日、6月の住宅着工をまとめ発表。 持家、貸家は増加したが、分譲住宅が減少したため、全体では前年同月比0.2%減の72,566戸となり、5カ月ぶりに減少した。

 持家は26,971戸(前年同月比0.1%増、3カ月連続の増加)、貸家は26,976戸(同3.3%増、6カ月連続の増加)、分譲住宅は17,724戸(同7.2%減、5か月ぶりの減少)。分譲住宅の内訳はマンション7,036戸(同20.2%減、2カ月連続の減少)、一戸建住宅10,647戸(同4.4%増、2カ月連続の増加)。

 首都圏マンションは4,288戸(同23.2%減)で、都県別では東京都が3,085戸(10.4%減)、神奈川県が482戸(同36.4%減)、埼玉県が168戸(同65.1%減)、千葉県が553戸(同149.1%増)。

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 このところ首都圏マンションの着工が減少しているのは気になる。東京都の着工減は震災後の影響で湾岸や超高層が減少しているのがその理由だろうし、その一方で、千葉県が増加しているのは、リーマンショック後に激減していたのから大手デベロッパーが用地取得に積極姿勢を見せるようになった結果だと思う。しかし、埼玉や神奈川で伸び悩んでいるのは今ひとつよく分からない。

 ただ、最近は堅調な売れ行きを背景にマンション適地が上昇しており、建築費も10%ぐらい上昇しているという声を聞く。このことを裏付けるように昨年あたりまでは値付けに慎重だった郊外部での強気な価格設定が目立つし、準都心部でも人気のエリアでは坪単価250万円以下というのは姿を消しつつある。

 これ以上単価上昇が続けば売れ行きが鈍化するのは必至だと記者は見ている。特に大手・中小間の売れ行き格差・商品企画の優劣がはっきりしている現状では、中小デベロッパーには厳しい市場になりそうだ。大手との競争を避けたニッチ≠狙うのか、それとも徹底した差別化によって大手と競争を挑むのか中小には厳しい選択が迫られる。

 先行き不透明感が広がり、消費税問題も絡んでくる。だから今後しばらくは様子見の傾向が強まるのではないか。

(牧田 司記者 2012年7月31日)