RBA HOME> RBAタイムズHOME >2012年 >

大和ハウス工業 コスト上げずに畳3畳分 面積広げる3階建て

「xevo 03(ジーヴォ・ゼロサン)」発売


「xevo 03(ジーヴォ・ゼロサン)」(文京区千石の実物モデルハウス)

 大和ハウス工業は1月24日、都市部の狭小敷地の建て替え層をターゲットにした軽量鉄骨造の都市型3階建て新商品「xevo 03(ジーヴォ・ゼロサン)」を2月3日から発売すると発表。報道陣向けに実物見学会も行なった。

 「xevo 03」は、1階の柱幅を従来の60oタイプから80oタイプに変更したことにより、同社のこれまでの3階建てと比べ2割耐力をアップ、設計の自由度を高めるとともに耐火性能も向上させたのが特徴で、これにより柱型を居室内に出す重量鉄骨造と比べて居室内の有効面積を延べ床面積120uに換算して畳3畳分(約5u)広げることができる。

 また、太陽光発電システムや家庭用リチウム蓄電池と HEMSを組み合わせた「スマ・エコ オリジナル」仕様にすることで、年間の光熱費を最大124%、CO2排出量を最大74%削減できるとしている。停電時には非常用電源として特定の照明や家電に電力を供給することができる。

 会見に臨んだ代表取締役専務・渦居隆司氏は「これまで10棟を建設して2年がかりで検証してきた。戸建てのトップシェアを奪還するためにも、当社が弱かった3階建てでシェアを高めていきたい」と語った。

 販売地域は、北海道・沖縄を除く全国(一部地域を除く)で、販売価格は本体工事価格3.3u当たり67.2万円〜(税込み、太陽光発電システム3.3kW搭載)、販売目標は年間430棟。

    
「キャンチバルコニー」                          「キャンチルーム」(従来商品も最大1.8m張り出し可能)

◇    ◆    ◇

 挨拶した渦居氏も、商品企画について説明した同社技術本部東京商品開発部商品企画グループ長・藤原陽介氏も、この「xevo 03 」にかける決意を熱っぽく語った。都市型3階建てで圧倒的な強さを発揮している旭化成ホームズを相当意識しているのが伝わってきた。

 新商品は、ひと言で言えばコストアップを伴わずに構造と耐火性能を強化・向上させ、なおかつ有効面積を広げることで、地価水準が高い都心部の防火・準防火エリアの重量鉄骨造に負けない住宅−−ということのようだ。

 畳3畳分といえば微々たるものと受け取る人もいるだろうが、実物モデルが建設されている文京区千石の物件は土地面積が約68u、建物面積が約113u。地価が坪300万円(建ぺい率60%、容積率300%の第一種住居専用地域)もするエリアだ。1種当たりに換算しても100万円だ。畳3畳分は建築費込で200万円もする。これは訴求力がある。構造を強化したことで、従来商品では0.9mしか張り出すことができなかった「キャンチバルコニー」の奥行きを最大で1.8m張り出すこともできるようになったのもすごい。

 それにしても、コストをアップさせないで構造も耐火性能も向上させ、これほどの面積を広げるハウスメーカーの開発力はすごいと思った。

 ◇    ◆    ◇

 都市型3階建ては全体としては伸び悩んでいるのだろうが、建て替え需要も期待されるし、建売住宅としてもこれから伸びるのではないか。ただ、3階建て建売住宅については、かつて「ほとんどが建ぺい率、容積率違反」と行政担当者が語ったのを聞いているし、現在も防耐火基準を満たしていないものが多いという指摘もある。

 その点、大手のハウスメーカーは違法建築などしないのだろうから、シェアを伸ばすことになるのか。木造2×4の三井ホームを含めた各社の競争が見ものだ。


重量鉄骨との比較概念図

(牧田 司記者 2012年1月24日)