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三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス調布」

駅から徒歩2分で坪単価は260万円弱!


「ザ・パークハウス調布」完成予想図

 三菱地所レジデンスが分譲中の「ザ・パークハウス調布」を見学した。京王線の地下化工事が進んでいる調布駅から徒歩2分の希少マンションだ。

 物件は、京王線調布駅から徒歩2分、調布市布田3丁目に位置する14階建て全52戸((うち事業協力者住戸2戸)の規模。現在登録受付中の5戸の価格は4,498万〜5,648万円、専有面積は54.72〜73.96u、平均坪単価は260万円弱。竣工予定は平成25年7月下旬。施工はNIPPO。登録締め切りは6月23日(土)。4月中旬から分譲が始まっており、現在30数戸が契約済みだ。

 現地は、地下工事化が進められている幅約10mの線路と線路に隣接する幅約6mの道路の南側に位置しており、敷地の東側は第一種中高層住居、敷地南側は第一種住居地域。敷地の西側の一部は都市計画道路が計画されている。

 敷地は南北にやや細長く、住戸は東南角のDタイプ(73.96u)、南西角のBタイプ(72.92u)、東北角のCタイプ(73.02u)、東向きのAタイプ(54.72u)の4タイプ。ほぼ5階以上は中低層の市内の住宅地が見渡せる。

 内廊下設計で、キッチン天板は自然石、ミストサウナ、食洗機、ソフトクローズ機能付き収納が標準装備されているのが特徴だ。

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 いつも通り単価予想をした。相場としては坪単価300万円ぐらいと読んだが、敷地形状からしてそれよりも低く設定するだろうと予想したが、 260 万円を切ると聞いてびっくりした。同社の販売担当者によると、価格が6,000万円を突破すると売れ行きが鈍るという事前の調査からそのような単価設定にしたという。

 それでも販売開始から2カ月で6割以上が契約済みなのだから販売好調と見てよいが、この単価でまだ残っているのは解せない感じもする。

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 「まだ残っているのが解せない」と書いたが、これは単価予想を大幅に外したこととも関連がある。記者は京王線に30年以上住んでおり、結婚して最初に住んだのが京王線調布の隣駅の布田だった。その後、あちこち引越ししたが、今でも京王線の中で調布が一番いい街だと思っているし、住みたい街だ。バブルの頃にマンション購入を考えたが、中古マンションでもいい物件は坪単価500万円した。20坪で億ションだった。

 坪単価300万円が相場というのは、京王線の地下化工事が完了したあとの街のイメージからはじき出した価格だ。地下化工事は都心寄りの柴崎駅〜西調布駅間約2.8kmと、調布駅〜京王相模原線京王多摩川駅間約0.9kmを地下化することで、国領、布田、調布駅を地下化し、18カ所の踏切を解消する。地下化によって生まれる敷地は商業施設や都市公園、緑道などに整備される。

 工事完了は平成26年度で、幅10mの線路跡地は調布市が買収するのかどうかも決まっていないが、自転車専用道路や街路樹も整備される予定で、素晴らしい公開空地に生まれ変わるはずだ。鉄道の音が消え、踏切を渡らなければならないイライラが解消され、そこに緑の空間が誕生するのだから街のポテンシャルが飛躍的に向上するのは容易に想像することができる。その将来性を見込んで、記者は坪単価300万円とはじいたのだ。

 緑道の整備を待って分譲すれば坪300万円でも売れると思うが、同社はそこまで待てないのだろう。それも理解できる。安い値段で買えるユーザーにとってもいいことだ。

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 しかし、どうも釈然としない。デベロッパーが用地を安く仕入れ安く売って、ユーザーが安く買えるというのは結構なことだし、基本的に価格は市場が決定するものだ。

 とはいえ、バランスというものもある。どうして調布駅2分が260万円弱で、調布の先の府中が300万円をはるかに越えるのか、調布より手前の初台、明大前、千歳烏山、仙川当たりが300万円近くするのか。都心のターミナルから同じ距離圏にある吉祥寺、成城学園、武蔵小杉だって300万円以上かそれに近い。

 これは京王電鉄も行政も考えないといけない。駅力∞街力≠引き上げる努力を怠ると、調布は益々地盤沈下する。そういえば、街のポテンシャルを図る記者が編み出したモノサシである @デパートがあるAホテルがあるBおいしいものが食べられる店がある−この3つとも調布にはない。Bだけは調布の職員から「そんなことありません。調布に住んでいた人とは思えない」と切り替えされたが、まさか行列ができるラーメン屋とか肉汁たっぷりのギョーザ屋のことをいっているのではあるまい。

 3つとも揃っているわが多摩センターが坪200万円にも届かないのも解せないが…。記者のモノサシが狂っているのだろうか。


調布市のホームページから

(牧田 司記者 2012年6月18日)