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子育て世代の理想の住まいは郊外の住宅地

三井不動産リアルティ調査

 未就学の子ども1人を持ち、自己物件を所有していない子育て世代が理想とする子育て環境は都心より郊外−こんな傾向が三井不動産リアルティのネットリサーチで分かった。調査対象は、首都圏に在住する平均年齢が33.7歳、平均世帯年収が557万円の男女516名。男性の82%がサラリーマンで、女性の81%は専業主婦。

 調査によると、子育てに適した理想の住みかえ先のイメージを尋ねたところ、全体では59.7%が「郊外」と回答。母親にいたっては63.2%が自然環境の充実した「郊外」派であり、父親の56.2%を上回る結果となった。

 また、また、住まいの購入については約8割が検討しており、住まい選びにおいては、父親は物件の「適正な価格」や「治安の良さ」など堅実な項目を重視する一方で、母親は「日照や風通し」、「耐震性」など、住まいの性能に重きを置く傾向にあることが分かった。住宅購入のための親からの資金援助想定額は平均159万円で、購入のための目標とする貯蓄額は1,000万円がもっとも多く、過半数が親との同居、近居を望んでいる。

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 興味深い結果が出た。サンプル数が少なく、回答者が「都心」「郊外」のイメージをどう描いているか分からないが、賢明な選択ではないか。われわれ団塊世代以上はほとんど「郊外」を選んでいた、というより「都心」の地価が高く、一戸建てなどは都心から30キロ以遠の「郊外」でしか取得できなかった。「郊外」しか選択肢がなかったのだ。

 回答者が購入を検討している住まいのタイプでもっとも多い「新築一戸建て」(約43%が回答)がどのようなものかも分からないが、「日照や風通し」がよく「適正な価格」(これがまた難しいが)の戸建ては都心から30キロ以上でないと取得できない。購入のための貯蓄額を1,000万円以上と考えているのも、取得価格から逆算すると賢明だろう。

 ただ、いまの子育て世帯が、そのような理想の実現に向かって「飲まず食わず」でせっせと頭金を貯めるかどうか。結局は「猫の額ほどの庭もない」ミニ戸建てや居住面積が22〜23坪のマンションを選択する「現実派」が多数を占めるのではないかとも思う。

 夫婦いずれかの両親との同居、もしくは近居を検討しているというのは意外な結果だ。しかも、その最大の理由として育児サポートではなく、親の安否をあげているというのに驚いた。そんな親思いの子育て世代は少数派ではないのか。逆に子どもの世話になろうと考えている団塊世代は圧倒的に少ないはずだ。この溝は埋まらないような気がするが、これは個人的な考えだろうか。

(牧田 司記者 2012年6月15日)