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1haのフランス大使館の森を抱くマンション

野村不動産・三井物産「プラウド南麻布」


「プラウド南麻布」完成予想図

 野村不動産(事業比率70%)と三井物産(同30%)は、共同で開発を進めているフランス大使館旧館跡地の期間60年の定期借地権付きマンション「プラウド南麻布」(総戸数88戸)の第1期分譲64戸の販売を6月16日から開始する。販売に先がけて14日、モデルルームを報道陣に公開した。これまで来場者は約800件、資料請求は6,000件を突破しており、早期完売は必至だ。

 物件は、東京メトロ日比谷線広尾駅から徒歩7分、港区南麻布四丁目に位置する7階建て全88戸。 専有面積は69.08〜192.70u、価格は6,090万〜49,000万円、坪単価は415万円。引渡し予定は平成25年10月中旬。期間60年の定期借地権付き。月額地代は約347円/坪。土地貸主は両社が組成したSPC南麻布開発株式会社 (底地人:フランス共和国) 。設計・監理は竹中工務店。登録受付は6月16日〜23日。

 物件の最大の特徴は、江戸時代から守り継がれた約 1ha の森に隣接しているということだ。5年前に両社のほか竹中工務店、フランスの建築設計会社ADPI 社などの5社コンソーシアムが日仏交流50周年記念のフランス大使館建替え事業コンペに当選し、開発を進めてきたもの。2009年に先行して竣工した同大使館と一体感を持たせるため、外観にはコンクリートに2種の石を打ち込み、表面を水磨きしたものを採用しているほか、森を抱き込む形状とし、ガーデンテラス、屋上のビューデッキなど共用部分の充実を図っているのが特徴。

 広大な森に面した53戸の住戸のバルコニーは奥行き3m確保し、道路側に面した35戸については取得しやすいように単価・グロス価格を抑えている。オーダーメイドを採用して、きめ細かな対応を行う。

  
エントランスホール                         ガーデンテラス

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 同社のマンションは数え切れないほど見ているので、商品企画、設備仕様は驚くほどのこともなかった。それでも借景を巧みに取り込んだ192uのモデルルーム(価格49,000万円、坪単価842万円)は、最近ではほとんど供給されていない豪華なものだ。住戸面積のほかルーフテラスが約109uあり、エントランスホールはゆったりと森を眺められるよう緩やかなルーフを描き、幅は最大で2m以上、狭いところでも1mはあった。バスルームに面した8.7畳大のコンサバトリーは天窓付き。リビングは約36畳大。床はすべて石張り。オプション仕様だけで8,000万〜9,000万円かけているという。

 標準仕様のタイプのフローリングは「サペリ」の突き板で、家具・面材はオーク材。


ガーデンテラス(夜景)

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 売れ行きがすごい。すでに森に面した単価がは450万円以上の住戸53戸については今回50戸を供給するように全戸申し込みのめどがついているようだ。道路側に面した坪単価が340万円の住戸34戸もグロスを抑制しているので人気になりそうだ。所有権と単純な比較はできないが、1haの都心の森を借景にできるのだからこの単価は安いのではないか。地代も安く、定借期間が満了してもそのまま建物を引き渡すことになっており、解体費用の積み立てが必要ないというのも人気の要因のようだ。

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 広大な森の借景を生かしたプランがいい。関係者によると、高木は建物の高さと同じ20mぐらいに達しているものなど400本ぐらいあるそうだ。それらの樹木を毎日眺められるのは居住者の特権だ。ただ、残念ながら、フランス大使館はこの森を一般には公開しておらず、一般市民もマンション居住者も立ち入る機会はほとんどなさそうだ。

 それにしても野村不動産は、この前見た「プラウド小石川」にしろ、新宿御苑の借景が素晴らしい2つの御苑マンション、東大の赤門とキャンパスを見下ろす東大赤門のマンションといい、借景が素晴らしいマンションをよく分譲するものだ。

  
192uのモデルルーム(左がエントランスホール、右がリビング)

(牧田 司記者 2012年6月14日)