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オープンハウス荒井社長 「いまは踊り場。成長戦略を構築する」

 いまもっとも元気≠ェある不動産会社の一社、オープンハウスの荒井正昭長にインタビューした。同社の平成23年9月期決算は、売上高698億円(前期比40.2%増)、経常利益89億円(同6.0%増)で、4期連続増収増益を達成し、平成20年9月期と比べると売上高は3.6倍、経常利益は17.8倍に伸ばした。マンション・戸建ての開発部門と不動産仲介の2本柱が核の、中堅にはあまにないタイプの会社だ。

 荒井社長といえば、不動産各社がミニバブル≠ノ浮かれていたころ、「必ずわが国もミニバブルは弾ける」とリーマンショックを先読みし、いち早く減損処理を断行、危機を乗り切った人だ。リーマン・ショックで多くの不動産会社が市場から退場を余儀なくされたが、影響を最小限にとどめた舵取りは見事というほかない。

 以下、荒井社長へのインタビュー。 (   ) 内は記者のコメント。

 −−現在の市況について

 昨年もほぼ予想通り。読みは当たっていた。それに的確に対応できたかはともかく、増収増益を達成することができた。今期も見通しは甘く見ていない。幸い、マンションの仕入れが順調に進んでいる。特に「六本木」「青山」などの超都心でいい仕入れができた。戸建ては仕入れ価格が上昇しており、まだ先読みできない部分もある。仲介は、昨年落ち込んだので今期は増やしたい。全体としては、踊り場を迎えていると思っている。もう一度、しっかり組織を見直し、更なる成長への足がかりを構築したい。

 −−「六本木」「青山」はどれぐらいで供給できるのか

 「六本木」は坪単価340万円ぐらい、「青山」も330〜340万円ぐらいで供給できそうだ。

 (記者は、中堅デベロッパーは同じ土俵では大手デベロッパーと対等に絶対戦えないと思っている。いまの大手の六本木や青山のマンションの単価は450〜500万円台の前半だ。同社の単価は、これより圧倒的に安い。もちろん、この単価差は立地にもよるのだろうが、これだけの差があれば間違いなく売れる。同社がビジネスモデルを構築した低層メゾネット≠セが、これには他社が参入し競争も激化しているが、先駆者利益を享受できているはずだ。圧倒的な価格的競争力を発揮できればまず負けないだろう)

 −−いったい、どこまで業績を伸ばすのか

 夢は1兆円といいたいところだが、売上は2,000〜3,000億円ぐらいには伸ばしたい。飯田一男さんを見習いたい。不動産会社を興した人で、いまも伸ばしているのは飯田さんとこぐらい。最近、お会いした。

 (飯田一男氏とは、もちろん一建設の会長で、創業者。一建設の平成23年1月期決算は、売上高2,097億円、経常利益235億円、戸建て販売棟数7,508棟というとてつもない業績を上げている会社だ。このほかアーネストワン、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、ファースト住建の創業社長も一建設から独立した人で、グループではないが、業界では一グループと呼ぶ。一男氏は、業界とのつきあいは全くせず、記者は何度も押しかけて、やっと年に1回ぐらい会ってもらえるようになったが、「記事にしない」ことが基本で、写真など一切撮らせてもらえなかった)

 −−RBA野球についてはどうか

 昨年は、旭化成ホームズさんに勝つまではよかったが … 。今年は、六大学経験者も含め2〜3人有力新人が入る。投手も2枚揃う。やはり旭化成ホームズさんは今年も強いですか。

 (RBA野球をご存じない読者の方も多いだろうが、RBA野球は毎年60チームぐらいが参加する建設・住宅・不動産業界の野球大会で、旭化成ホームズはプロ野球で言えばV9を達成した巨人ぐらい強い。高校、大学で活躍した選手がたくさんいる。昨年までは過去5年間負け知らずで37連勝中だったが、その旭化成をオープンハウスが逆転サヨナラ勝ちで下した。しかし、次の試合オープンハウスは破れ、決勝トーナメントにも進出できなかった。荒井社長は元高校球児。まだ並以上の球を投げる)

(牧田 司記者 2012年1月19日)