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阪急不動産「ジオ三鷹」

首都圏デベロッパーにないきめ細かな商品企画


「ジオ三鷹」完成予想図

 2010年から首都圏でもマンション事業を積極展開している阪急不動産の「ジオ三鷹」を見学した。首都圏デベロッパーにはないきめ細かな商品企画も盛り込まれていた。4月28日から予約制でモデルルームを公開しているが、約1週間で130件の予約が入ったという。販売担当者は早期完売に自信をみせていた。

 物件は、JR中央線・総武線三鷹駅から徒歩4分、三鷹市下連雀3丁目に位置する10階建て全50戸の規模。専有面積は33.93〜63.62u、価格は未定だが3,000万円台〜6,300万円台、坪単価は310万円ぐらいになる模様だ。施工はピーエス三菱。設計・監理はIAO竹田設計(意匠)、安藤建設 (構造・設備) 。竣工予定は平成25年3月上旬。販売開始は5月下旬。

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 同社の「ジオ」シリーズを見学するのは今回が初めてだった。ある人を通じて、購入検討者から「見てほしい」といわれたからでもある。記者は、これまでも友人などに購入アドバイスをしたことはあるが、基本的にはやらない。マンションそのもものレベルは分かるが、ユーザーの希望するものに合致しているかどうかの判定はきわめて難しいからだし、そもそも十全の物件など一つもないからだ。かといって、欠点をあげつらうようなことはしたくない。三鷹駅圏のナンバー1のマンションは野村不動産他「武蔵野タワーズ」だろうし、モリモトの「クレッセント三鷹ザ・タワー」だということだけは自信を持っていえるが …。

 今回のマンションでも、その方が何の目的で、どのようなマンションを探しているのか、ライフスタイルについてどのように考えているのかも知らないし、予算も家族構成なども知らない。だからアドバイスなどしようもないのだが、知ったところで果たして満足なアドバイスが出来るかどうかの自信もない。パンフレットもまだ出来ておらず、基本性能などもわからない。

 ただ、首都圏のデベロッパーがあまりやっていないきめ細かな商品企画が盛り込まれていたので、これだけは強調材料としていえる。

 一つは、トイレドアのプッシュプルドアだ。プッシュプルドアを採用することによって、把手が壁面から突き出ないようにしている。この種のドアは初めて見た。トイレのドアを壁面より後退させ、ドアの把手が突き出ないようにしているのはコスモスイニシアやフージャースコーポレーション、積水ハウスなどがあるが、これらは基本的には把手の形状は他のドアと同じだ。

 もう一つは、ソフトクローズ機能付きリビングドアだ。ソフトクローズ機能付きドアは、アパが2年前に採用したのが最初だと思うが、今回のドアはアパのと同じ製品ではない。

 3つ目は、バルコニーのルーバー手すりだ。一見、普通のルーバーに見えるが、断面が正方形のものを長方形のものがはさむ形で等間隔に取り付けられているため、斜めから見ると間隔は狭まったり広がったりして見える。見る角度によって表情が異なる手すりは、隈研吾氏が設計した三井不動産レジデンシャルの「神楽坂」ほかでも見たが、今回のような形状は初めて見た。

 4つ目は、キッチンや洗面所の3方立ち上がりガードだ。水じまいをよくし、カビやクロスのはがれなどを防止もできるものだ。これも首都圏のデベロッパーはほとんど採用していない。

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 立地条件は、商業地域なので四方八方をマンションやビルなどに囲まれており開放感は望めない。しかも、同市の「第一種特別商業活性化地区」に指定されており、住宅のみを建設する場合は指定容積率(500%)の80%しか建てられないため400%の規制がかかっている。さらに前面道路が4メートルであるため10分の6の前面道路規制がかかり1,047u(敷地面積)×400%(容積率)×0.6≒2,500u(緩和措置があるので実際の延べ床面積は約3,000u)となり、容積率は約240%しか消化し切れていない。

(牧田 司記者 2012年5月8日)