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三井不動産レジデンシャル ホテルなら5つ星

「パークシティ武蔵小杉ザ グランドウイングタワー」

 
左から「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」、「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」、
今回の「パークシティ武蔵小杉ザ グランドウイングタワー」完成予想図

 大逆転現象 中央区が川崎市に坪単価で20万円の差をつけられる!

 三井不動産レジデンシャルと三井都市開発は4月27日、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅前で開発中の「パークシティ武蔵小杉ザ グランドウイングタワー」の記者発表・見学会を行い、モデルルームを4月28日(土)にオープンし、5月中旬に販売開始すると発表した。

 物件は、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩1分・南武線武蔵小杉駅から徒歩4分・横須賀線・湘南新宿ライン武蔵小杉駅から徒歩6分、川崎市中原区新丸子東3丁目に位置する38階建て全506戸の規模。専有面積は39.77〜112.46u、予定価格は3,300万円台〜1 億200万円台(最多価格帯5,500万円台)、坪単価は295万円。竣工予定は平成25年11月下旬。設計は竹中工務店、日本設計。監理は日本設計。施工は竹中工務店。

 三井不動産グループは、これまで「武蔵小杉」駅前の複数の再開発事業に参画しており、マンションとしては2008年に入居開始した「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」(47階建て643戸)、2009年入居の「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」(59階建て794戸)に次ぐ3棟目。今回のマンションは「武蔵小杉駅南口地区東街区第一種市街地再開発事業」により、駅前広場・商業施設とともに一体的に整備するもの。1階〜4階までが商業施設となり、駅前の東街区商業施設(2014年7月開業予定)との一体開発によりペデストリアンデッキで直結される。

 @竹中工務店と防災ディレクターによるプロデュースで、複層的に備える防災対策を導入A創エネルギー・省エネルギー・エネルギーの見える化など様々な環境対策B3羽の鳥をイメージした外観デザインのパークシティ3棟の最終棟C緑とアートが日常を演出する充実の共用施設D駅前居住にふさわしい多様性あるライフスタイルの提案(アクティブシニア向けプランなど)−−などが特徴。

 1月からの反響は約7,000件で、予約による来場者は約1,500件。1期分譲は300戸前後になる模様だ。


ザ・ガーデンエントランス(完成予想図)

◇    ◆    ◇

 発表会の中で挨拶・説明した同社横浜支店副支店長・各務徹氏、同開発室主査・加藤瞬氏、同営業室主管・坪井清治氏の3氏は、控えめながら「画期的」という言葉を2〜3回口にした。記者は、先日の野村不動産「プラウド船橋」の会見とダブらせて聞いていた。自信満々に特徴を語った野村不の関係者と実に対照的だった。同社と野村の差はこのあたりにも現れていると思った。

 ところが、その控えめな発表が効果を発揮した。ここまでやるかという感動すら覚えた。地盤の強い立地であることから杭打ちではない直接基礎に竹中の制震ダンパーを採用したこと、防災ディレクター・永田宏和氏の指導のもと72時間使用可能の非常用発電、1世帯あたり約1,000リットルの水(飲料水7日分、生活用水7.5日分、トイレ排水10日分)を確保、各フロアに防災備蓄倉庫などの取り組みを行う。トイレは、1回の使用ごとに排泄物を完全密封し、臭いを防止するものを用意するという。

 「画期的」な取り組みとは、太陽光発電だけでなく、「地中熱ヒートポンプシステム」を採用して創エネの取り組みをすることだ。エネルギーの見える化も「me−eco(ミエコ)」や「すまい ECOチャレンジ」を活用して「環境家計簿」が利用でき、参加者同士のコミュニケーションが図れるようにもする。

 デザイン監修を担当した建築家の光井純氏は、先に竣工した2棟のマンションのデザインも担当しており、3棟は一見して光井氏の作品であることが分かるようにデザインされている。頭頂部のデザインは3羽の鳥をイメージした印象的なものだ。

 共用施設の充実にも力を入れており、世界的なランドスケープアーティストの石原和幸氏、これまた最近人気の和紙デザイナー・堀木エリ子さん(最近では新日鉄都市開発の「神宮前」も担当)、ブックディレクターのBACHを起用している。

 住戸プランで特筆したいのは、主にアクティブシニアをターゲットにした約61uの「2Sumu (フタリズム)」のプランだ。これは日建ハウジングシステムとコラボしたもので、3つの居室のうち、中央の部屋に引き戸と扉を用いて可変空間を実現した。すべての引き戸を開放すると大きなワンルームにもなる。 若い人は理解できないだろうが、歳をとると最愛の妻でも夫でも触られると鳥肌が立ち、顔を見るのもいやというときがあるものだ。設計は日本設計なのに、このプランだけ日建ハウジングというのもすごい。

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 面白いのは値付けだ。平均坪単価は295万円だが、最低は約280万円、最高は約300万円だ。その差は20万円しかない。ワンフロアにすればわずか5,000〜6,000円の差だ。かつて超高層といえば、最低と最高の坪単価は100万円どころか200万円の差はあった。

 どうして差をつけないのかを聞いたら、武蔵小杉の市況(億ションは売れ行きが鈍い)や震災後の超高層の顧客ニーズを考慮したとのことだった。

 記者は、この説明を納得もしたのだが、これほど防災対策を施しているマンションなら、下層階と高層階とでは災害時にそれほどの被害の差が出ないだろうし、ならば眺望のよい高層階に人気が偏るのではという心配もする。

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 今回のマンションがデビューしたことで、今春の目玉物件がすべて出揃ったことになる。他の物件は、三菱地所レジデンス・鹿島建設「ザ・パークハウス晴海」、東京建物の「Brillia 横浜磯子」と「Brillia 多摩ニュータウン」、野村不動産「プラウド船橋」だ。みんな、レストランに例えれば「3つ星」だし、ホテルなら「5つ星」だ。これまで武蔵小杉駅圏でタワーマンションは7棟ぐらい供給されているはずだが、間違いなくこのマンションがナンバー1だ。

 記者は、この中からベストマンション≠上げるなら「武蔵小杉」を選ぶ。「東京都中央区」アドレスの「晴海」も捨てがたいが、三菱と鹿島に石川遼選手という最高の組み合わせで坪単価は275万円だ。「武蔵小杉」も三井に日本設計、竹中だが、アドレスは「川崎市中原区」だ。昨日、木村惠司・不動産協会理事長は「東京のポテンシャルは東アジアの中で下がっている」と語った。どうしてアジアからだけでなく、「東京都中央区」が「川崎市中原区」に20万円も差をつけられるのか。大逆転現象だ。これは都民として納得できない。三井も「江東区豊洲」で近くマンションを分譲するが、「武蔵小杉」の単価を上回ることはまずないはずだ。マンションデベロッパーは考えないといけない。

  
「2Sumu (フタリズム)」のリビングダイニング(左)とマルチルーム

(牧田 司記者 2012年4月27日)