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 住友林業 樹齢750年の妙法桜の後継樹増殖に成功

 住友林業は4月12日、鎌倉・安国論寺の日蓮聖人由来の名木で、市の天然記念物でもある樹齢750年の「妙法桜」の後継樹増殖にバイオ技術の一つである組織培養によって成功させたと発表した。

 通常、桜の苗木は接ぎ木により増殖するが、妙法桜は樹勢が衰えているため接ぎ木に適した状態のよい枝が採取できず、また、挿し木で増殖した苗は元の木が持つ病気も一緒に受け継いでしまう場合があるため、安国論寺が同社に後継樹の育成を依頼していた。同社は 008年8月に開発着手し、2010年5月に順化、今年2月の畑に定植することに成功した。組織培養、特に茎頂培養法による増殖では、ほぼ無菌と言われている芽の分裂組織である「茎頂(けいちょう)(=生長点)」を材料に使うため、元の木の病気を受け継いでしまう心配がない。

 増殖した苗は、安国論寺へ植栽するほか、東日本大震災の復興支援の一環として被災地での植栽を実施する予定。

 安国論寺は、約750年前に日蓮聖人が北条時頼に上奏した「立正安国論」をこの地の草庵で著したとされ、寺号はこれに由来している。四季を通じて花が多いことでも知られ、日蓮聖人の桜の杖が根付いたといわれる妙法桜や樹齢350年といわれる山茶花が市の天然記念物に指定されている。同社は、山茶花のバイオ増殖にも2009年に成功している。

(牧田 司記者 2012年4月13日)