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野村不動産 仰天の「PROUD with UNITED ARROWS」 オープン


左からユナイテッドアローズ・鴨志田氏、同・重松氏、野村不動産・山本氏

 野村不動産は4月4日、自分らしいスタイルを提案し続けている洋服メーカー「ユナイテッドアローズ」とコラボしたショールーム「PROUDwithUNITED ARROWS」のプレス内覧会を現在分譲中のマンション「プラウドタワー東雲キャナルコート」のマンションミュージアム内で行った。

 ショールームは、@コンセプトルームA廊下収納BシューズクローゼットCウォークインクローゼットDシステム収納の5つのコーナーに分かれており、「着心地のいい家」をテーマに洋服メーカーらしい様々な提案を行っている。

 内覧会のトークセッションで挨拶した野村不動産取締役兼常務執行役員・山本成幸氏は、「10年前にマンションブランドを『プラウド』に統一して、主にハード面の充実を図ってきた。しかし、これからはソフトの充実を図っていかないとブランドの発達はないと考え、ライフスタイル全般に力を入れていらっしゃるユナイテッドアローズさんにラブコールを送った」とコラボの経緯を話した。

 これに応える形で、ユナイテッドアローズ取締役会長・重松理氏は、「本業は洋服の小売だが、ライフスタイル全般にわたってサービスを提供したいというのが創業時からの夢で、20年前には自分たちで家を造ったぐらいだ。声をかけていただいて非常に光栄。快適な住まい、楽に住まうことを提案したい」と語り、同社クリエイティブディレクター鴨志田康人氏は、「服と同じように住むほどに愛着がわく住空間を提供したい。私自身、10年前に自分自身で設計して家を建てたが失敗だらけだった。今回はそのストレスを解き放つアイデアを物件に注ぎ込んだ」と説明した。

 「プラウドタワー東雲キャナルコート」は昨年末に分譲開始して以来、これまで1期〜2期まで406戸を即日完売している。ショールームは4月14日から一般にオープンする。

  
コンセプトルーム                          廊下収納

◇    ◆    ◇

 最初にお断りしたい。野村不動産の「 PROUD (プラウド)」は年間20物件ぐらい見学しているし、マンションのトップブランドだと思っているが、ファッションにはまったく興味がない。野村不動産がリリースを発表したときも、住宅とは縁もゆかりもないファッションメーカーと組んでどんなメリットがあるのか不思議でならなかった。

 関係者や回りの人たちによるとユナイテッドアローズは若い世代のアッパーミドルに人気とかで、「東雲」の需要層にぴったりということからコラボしたことが分かり納得もした。最初にこのエリアでマンションを分譲した三菱地所レジデンス(当時三菱地所)が、俳優の本木雅弘氏を起用して誰も読めない「東雲(しののめ)」を全国区にしたように、野村不動産もまた若年層に人気のファッションメーカーと組んで新たな顧客を獲得しようという戦略のようだ。

 とはいえ、所詮は自分のモノサシでしかものを計れないから、この両社のコラボが成功するのかどうかは皆目見当もつかない。同じようにマンションデベロッパーが異業種とコラボした事例では、三菱地所が10数年前に「南町田」のマンションでAfternoon Tea(サザビー)と組んだのを覚えている。その後も両社は数物件を供給している。

  
シューズクローク                       ウォークインクローゼット 

◇    ◆    ◇

 ここからが記者のモノサシで計った様々な提案に対する感想だ。まず、廊下収納。これは文句なしにいい。不燃材にオーク材の突き板を貼った壁にピクチャーレールのようなものが取り付けられており、20キロぐらいまでの重量に耐えられるという。自転車やスノーボードなども飾れる。ただ、自転車などを廊下に飾るにはメーターモジュールでも無理だろう。もっと広くしないとダメだろうし、壁面収納として提案したほうがいい。

 同じようなものは一昨年、三菱地所レジデンスの「パークハウス吉祥寺OIKOS」で見学している。「これはいい」と思ったものだ。こちらはコンクリート打ち放しでできる「セパーナ」と呼ばれる穴を利用したものだった。

 コンセプトルームもいい。広さは10畳大以上はあった。床、壁面に突き板のオークを貼り、造り付けの書棚を設置したものだ。値段がいくらになるかだが、これはユーザーに理解されるのではないか。

 シューズクロークとウォークインクローゼットは、記者のモノサシでは計れないしろものだった。

 シューズクロークは幅は1間ぐらいで長さが数メートルもあるもので、スペースの両側には100足を超える靴やブーツが商品棚のように並べられていた。ゴム草履も飾られていたので、「坪単価240万円もするマンションに、こんな数百円のゴム草履を飾ってとうするのだ」と女性担当者に食って掛かった。担当者は「ゴム草履じゃありません。ビーチサンダル。ブランド品で2万円から3万円です。私も100足以上持っています。これは女性の理想のクローゼット」と平然と答えた。

 じっとわが革靴を眺めた。ビーチサンダルが革靴と同じ価格とはあきれるしかない。記者などは樹木剪定に履く地下足袋や長靴を含めても10足もない。

 ウォークインクローゼットは広さ約6畳。これも絶句するしかなかった。このスペースだけで700万円以上だ。利回りを5%ととすると、衣類などの収納費は年間35万円もする。億ションが買える富裕層ならいざ知らず5,000万円〜7,000万円のこのマンション需要層の人たちですら理解できないのではないか。これだけは「過ぎたるは … 」にならないことを祈ろう。


システム収納

(牧田 司記者 2012年4月5日)