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ナイス 桁外れの地域貢献 「ヨコハマ オールパークス」が完成


「ヨコハマ オールパークス」完成予想図

 ナイスは3月15日、横浜市鶴見区で開発を進めてきた総戸数1,424戸の首都圏最大免震マンション「ヨコハマ オールパークス」が3月下旬に全工区が完成するのを前に記者見学会を行った。

 物件は、京浜急行鶴見市場駅から徒歩7分、またはJR川崎駅から徒歩19分、横浜市鶴見区尻手1丁目に位置する敷地面積約61,000uの全1,424戸の規模。2005年3月、車体メーカーの工場跡地を取得し、2007年7月に横浜市市街地環境設計制度の許可を得て、2008年5月から三工区にわけて工事を進めてきた。

 約4,000uの公開空地「グランドパーク」には、かまど兼用ベンチやマンホール対応型トイレ、テントとして利用可能なパーゴラ、防災備蓄倉庫などを設置し、万一の際には周辺地域を含めた防災拠点としての役割を果たす。さらに、「グランドパーク」に隣接して建設した自治会館を地元自治会に寄贈した。5つの町内会約4,800世帯をカバーする。また、地域防犯の観点から現在の交番に隣接する土地を一部寄贈。パトカーの置けるスペースを持つことで夜も警官が常駐する交番となる予定だという。

    
   公開空地「グランドパーク」

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 スケールの大きさに度肝を抜かされた。免震で規模が大きいというだけではない。街をつくり、道路をつくり、地域のコミュニティ形成を図るという、およそ民間デベロッパーが取り組む域を超えた腰の据わったプロジェクトにだった。

 分譲開始したのはリーマン・ショック後の2009年1月だった。記者もそのとき取材し、記事にもしているが、開発の経緯までは知らなかった。

 現地は、広大な敷地であったことから様々な問題を抱えていた。周辺の住宅地が東西に分断され、道路の幅員も狭く、工場跡地に向かって行き止まりが数多く存在していた。集中豪雨や大震災が発生したときの避難や消防活動にも支障が生じることが懸念されていた。地元の元宮自治会の自治会館は開発地の西側、JR横須賀線と鶴見川の間の居住世帯が少ない地域にあり、夜間は照明も少なく、女性や子どもは利用しづらいという声も数多くあった。袋小路が多く、治安や防犯面でも不安を抱えていた。

 そこで、同社は約 2 年半、横浜市と協議を重ね、@歩行者のための空間確保A地域施設の充実B福祉の街づくりC災害に強い街づくり−などを商品企画に盛り込んで横浜市市街地環境設計制度の許可を得た。

 建物は同制度の20m規制から45mまで高さ制限の緩和を受けてはいるが、東西約430メートル、幅35〜40mの公開通路を設け、約4,000uの公開空地を確保し、約1,500uの外周部緑地を設けるなど全体で10,000u以上の公開空地・緑化面積を設けたために、法定容積率200%のうち使用したのは180%にとどまっている。


公開通路

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 担当者が「マンションなら100戸ぐらいの規模のものが建つ」と言った約4,000uの公開空地「グランドパーク」を見て驚いた。これほど広いマンション空地をみたのは記憶にない。その隣接地には同社が寄贈した自治会館が完成しており、交番用地もあった。この広場から駅方向に向かって公開通路が通っていた。

 公開空地には外周部公開空地が広がっており、所々4カ所ぐらいに行き止まりを解消するためのゲートが設けられていた。植栽された樹木は26,000本以上だが、樹齢にして数十年ぐらいと思われる高木もたくさん植えられていた。これまでは駅方向に向かうのに7〜8分かけて迂回しなければならなかった近隣住民は自由に通れる。

  
外周部緑道

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 分譲開始から 3年。残りは約200戸。東日本大震災後は地元だけでなく全国から問い合わせがあるという。あと1年でも市との協議を短縮できていればとっくに完売していたのだろう。

 それにしても、こんなスケールの大きなことをやるから、同社は横浜や川崎の住民から圧倒的な支持を受けられるのだとつくづく思った。しかし、これほど地域貢献しながら、入居者には固定資産税、都市計画税などの減免措置は一切ないという。せめて樹木の剪定費用の一部は市が負担してもいいのではないか。本来は行政が行う仕事だろう。

  
全体模型図                                寄贈した自治会館(木造3階建て延べ床面積200u)

(牧田 司記者 2012年3月16日)