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ランドスケープデザインが秀 野村不動産「プラウドシティ浦和」


「プラウドシティ浦和」完成予想図

 野村不動産が2月下旬に分譲する予定の全492戸の大規模マンション「プラウドシティ浦和」を見学した。

 物件は、JR浦和駅から徒歩12分、または南浦和駅から徒歩10分、さいたま市浦和区前地1丁目に位置する7〜14階建て6棟構成。専有面積は70.01〜93.24u、価格は未定。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は平成25年3月下旬。

 最大の特徴は、ランドプランの妙だ。敷地面積は約22,000u。元住宅展示場だった第1種住居専用地域だ。その敷地のほぼ中央、北西から南東にかけて「センタープロムナード」と呼ばれる幅員約 11mの公道が通っている。敷地を有効利用するためにはこのような道路を設置することは考えられないが、これはここに都市計画道路が計画されているためと思われる。都市計画道路内には、原則として木造や軽量鉄骨の 3 階建てまでしか建てられないことになっているからだ。

 同社はこの規制を逆手にとって、多棟構成とし、建物を緑の中に織り込むように配置し、さらに角住戸比率を高めている。各住棟は、南東向きだったり南西向きだったりするが、いわよるお見合いを避けることになっている。

 さらに、敷地の南西側には立派な樹木が生い茂っているゴルフ練習場があり、その借景も取り込むように設計されている。

 今日、野村不動産がニュースリリースしたように、 財団法人都市緑化機構が運営する「社会・環境貢献緑化評価システム( SEGES :シージェス)」の「緑の保全・創出による社会・環境に貢献する開発事業(都市開発版 SEGES )」に首都圏のマンションとしては初めて認定されたことでも、ランドスケープデザインが優れていることが分かる。

 基本性能・設備仕様も、他のプラウド≠ニ同様、水準以上だ。デザイン総合監修は建築家の南條洋雄氏。共用施設も充実しており、同社の「ラクモア」が標準装備されている。

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 問題は、価格がどうなるかだ。同社は「未定」としているが、記者の相場観からして坪 200万円はしないだろうと読んだ。今年度中に「浦和駅」が湘南新宿ラインの停車駅となり駅のポテンシャルは上がるが、それでも戸数の多さ、駅からのアクセスを考えると坪単価は190万円ぐらいではないか。あるいは早期完売を狙って180万円台の前半に落ち着くケースも考えたい。ただ、反響はすでに3,000件あるというから、もっと強気な単価を設定するのか。

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 同社は、大手デベロッパーの中でも浦和エリアでのマンション供給が多く、これまで 1979年 9月以降、53物件4,304戸を供給している。今回はその10分の1以上の戸数にのぼり、その集大成プロジェクトとして位置づけている。

 一方、三井不動産レジデンシャルは、南浦和駅圏で野村不動産の物件とほぼ同じ距離圏で211戸の「パークシティ南浦和」を分譲する予定で、さらに浦和駅圏では「パークホームズ浦和仲町」130戸を分譲している。双方を合わせると833戸だ。もちろん両社のほかにも分譲中の他のマンションもあり、その数は約1,000戸。

 浦和、南浦和には1,000戸のマンション供給を吸収する駅力はないと思う。しかも、双方とも駅からのアクセスは微妙だ。分譲単価がどうなるのかも含めて、両社の戦い≠ェみものだ。

(牧田 司記者 2012年1月12日)