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 マンション管理人が仲介の業務に携わるのは無理か

 昨日(2月23日)行われた高層住宅管理業協会の記者懇親会で、黒住昌昭理事長(大京アステージ会長)ほか、各理事にマンション管理人について、@管理人は入居者の買い替え・住み替えの仲介を行うことはできないかAレベルの高い仕事をされる管理人の呼称は変更できないか−という質問をした。各氏の回答を紹介する。(回答順)

 黒住昌昭理事長 当社は入居者の方から相談があれば流通会社の大京リアルドにつなぐようにしているが、仲介に熱心になると本来の業務に齟齬を来たすこともあるので難しい問題だ。とはいえ住生活総合サービスをわれわれの業界は標榜しているのだから挑戦して欲しい。呼称については、当社は「マンションサポーター」と呼んでいるが、入居者の方は「管理人さん」と呼んでいるようだ。私は守旧派かもしれないが、難しい問題た。

 池田孝副理事長(三井不動産住宅サービス社長) 当社は約15万戸を管理しておりうち年間4,000戸から5,000戸の権利移転があるが、現場の紹介により仲介の三井のリハウスと成約するのは年間100戸ぐらい。コンシェルジュサービスなどにも注力しているが、難しい問題もある。呼称は「ライフサポーター」と呼んでいる。

 山根弘美副理事長(ダイワサービス社長) 仲介サービスなどは機関紙(誌)などでニーズを吸い上げるようにしている。呼称については「フロントマネージャー」、あるいは「ハートプリーザー」(心がこもったおもてなし)と呼んでいる。

 大高進副理事長(長谷工コミュニティ社長) 仲介など専有部のサービスは個人情報の扱いなど微妙な問題もある。当社は了解のうえで流通部門につなぐようにしている。呼称の「フロントマネージャー」はかなり定着してきた。

 土橋隆彦副理事長(東急コミュニティー会長) みなさんと一緒です。

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 このような返事が返ってくるのは予想していたが、記者自身は管理人の仕事には無限の可能性があると思っている。最近のマンションは24時間有人管理が増えているし、コンシェルジュサービスなどフロントサービスが充実したマンションが増加している。

 その一方で、入居者同士のコミュニケーションは益々希薄になってきている。日常的に入居者と顔を合わす管理人こそ、入居者同士をつなぎあわす役割を果たすし、1人住まいの高齢者が増えており、場合によっては命綱になることもあると思う。

 入居者との信頼関係が構築できれば、それこそその管理会社のあらゆるグループのビジネスにつながっていく。期待以上のサービスを受けると人は感動し、感動はさらなるステップアップの場となる。直接であろうと間接であろうと、管理人の仕事は大きな可能性を秘めていると信じて疑わない。

 管理人が直接仲介の仕事に携わるのはやはり問題も多いかもしれないが、グループの仲介部門への橋渡し役としては適任だろう。リッツ・カールトンは、自らの仕事をきちんとこなせば、お客様のためと思ったことは他部署の担当でも行っていいように定めている。しかも、それによってミスを犯しても責任を取らされることはない。だから圧倒的な支持を受ける。

 管理人がそのような役割を担って全然不思議でないと思う。その意味でも呼称の問題にも各社は取り組んで欲しい。

(牧田 司 記者 2011年2月24日)