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 スター・マイカのビジネスモデルに注目


リフォーム後の「クリオレミントンヴィレッジ国立」の住戸


 中古マンションで初めて“子育て支援認定マンション”を販売するというスター・マイカのニュースを聞いて、同社に取材した。

 “子育て支援認定マンション”とは、ミキハウス子育て総研が独自の認証制度に基づいて認定しているもので、分譲マンションではたくさん事例があるが、中古マンションでは初めてという。対象となったのは、同社が昨年 7 月に取得した「クリオレミントンヴィレッジ国立」の賃貸住戸134戸のうち、同社がリフォームして販売する3戸。オープンキッチンにし、子どもの荷物に対応できる収納を確保したことなどが評価されたという。

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 「クリオレミントンヴィレッジ国立」とは、いうまでもなくあの「国立問題」として全国にとどろきわたった明和地所が分譲したマンションのことだ。記者が深く関わったマンションでもある。中古マンションとして子育て支援認定マンションに認定されたのは、それだけ物件の環境や共用施設が充実しているからでもあるが、本来は、国立市との裁判がなければ、近隣住民が自由に敷地内に出入りできる公開空地を設け、カフェなども設置するもっと素敵なプランだったことはあまり知られていない。

 個人的には、ミキハウスの認定制度には異論がある。ハード面など子育て環境を整えても子育て支援には不十分だと思うからだが、認定制度がマンションの販促に結びつくのならいいことだ。


「クリオレミントンヴィレッジ国立」

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 同社の取締役管理本部長兼企画経営室長・日浦正貴氏に話を聞いて、なるほどと思ったのが同社のビジネスモデルだ。同社は、中古マンションの買い取り・リフォーム(リノベーションとも呼ばれる)の最大手のインテリックスのように空き住戸を買い取ってリフォーム後、販売するのではなく、賃貸中(オーナーチェンジ)のファミリーマンションを買い取り、そのまま賃貸として保有し、入居者が退去してからリフォームを施し販売する手法に力を入れている。

 賃貸中というリスクを逆手に取った手法であるのが面白い。現在、常時1,000戸を保有し、年間にバルクも含めて約1,000戸を売買しているという。物件を取得してから入居者が退去するのは平均すると約4年だという。

 「旧耐震の昭和55年以前の物件は、流通性のあるものを除き基本的に取得しないことにしている。現在、旧耐震の物件の築年数別残高構成では約6.8%にしか過ぎない」(日浦氏)というのも注目できる。

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 同社の水永政志社長は元証券マンで、日浦氏は公認会計士。「みんな不動産は素人」だそうだ。不動産業界関係者は「オーナーチェンジ」物件を敬遠しがちだが、記者は物件をそのまま保有して賃料収入を得るのは高い利回りも期待できるので、十分ビジネスになると思っている。

 日浦氏は「中古マンションの不透明な価格形成や両手取引など、不動産の世界は不思議なことばかり。マンションの管理人もどうしてしっかりした資格者にして、売買の相談ができるようにしないのか不思議」と語った。業界関係者もこの言葉に耳を傾けなければならない。この業界はグレーソーンが多く、アバウトなところが少なくないのは確かだ。

(牧田 司 記者 2011年2月18日)