RBA HOME> RBAタイムズHOME >2011年 >

基本路線に変更なし ポラス新体制へ

大久保、中内、品川の3氏が記者会見


左から品川氏、大久保氏、中内氏

 
  ポラスは2月17日、既報の通り3月21日付でポラス代表から中央住宅会長へ就任する大久保浩成氏と、ポラス取締役から同社代表へ就任する中内晃次郎氏、中央住宅常務取締役から同社社長へ就任する品川典久氏の共同記者会見を行った。

 大久保氏は、「2005年に創業社長の中内俊三が亡くなってから、先代の理念をもとに経営を行ってきたが、私もすでに60歳代半ば。優秀な人材も育ってきており、若返って新しい体制にするには一番いい時期だと判断した。晃次郎氏はポラテックの脱パワービルダーを図り、大きな事業部に育て上げた。グループ一丸となって経営してくれることを確信している。品川氏は分譲部門の旗振り役となって活躍してきた。これからも街づくりの中心的な役割を担ってくれる」などと語った。

 また、今期売上高が1670億円(前期は1,497億円)、経常利益が103億円(同65億円)になる模様で、創業来初めて経常利益が100億円を突破することを明らかにした。

 中内氏は、「好業績の後を担うのは身が引き締まる思い。12年前に入社していろいろ見てきて感じたことは、みんな真面目にやっていることと理念がいいし、しっかりした文化もあるということ。オーナー家としてありがたく思ってきた」などと述べた。

 品川氏は、「私が入社した33年前の社員数は100名だった。一生懸命が取り柄で頑張ってきたが、これからもポラスの街づくりの理念を掲げ、価値創造に邁進していきたい」と語った。

 中内氏は1967年生まれの44歳。早稲田大学を卒業後、東日本旅客鉄道に約9年勤務した後、1999年3月、ポラテックに入社。これまで建築資材の加工部門や注文住宅部門を担当してきた。

 品川氏は1955年生まれの55歳。日本工業大学を卒業後、1978年3月、中央住宅に入社。ほほ一貫して住宅分譲部門を担当してきた。

◇     ◆     ◇

 「住まいに価値を。お客様に満足を。」――ポラスの経営理念を一言で表す言葉だが、この理念が不変であることを強く印象づける記者会見だった、

 7分−6分−5分。これは大久保代表、中内次期ポラス代表、品川次期中央住宅社長がそれぞれ冒頭で挨拶した時間の長さだ。お互いが申し合わせたわけではないだろうが、絶妙の時間配分だった。

 大久保代表は一語一語、ゆっくりと、時には声を震わせながら創業社長の中内俊三氏が亡くなってから今日までの舵取りについて語り、「若返りのためには一番いい時期」と語った。

 中内氏は、言葉を選びながら「みんな真面目、理念がいいのに驚いた」と率直に同社に入社してからの12年間を振り返った。

 そして質疑応答を含め記者会見約1時間の中で、「経営理念」という言葉と、同じ主旨の言葉が3氏から少なくとも10回は繰り返された。

 大久保代表は「お客様があって存在するのが企業。顧客主義を徹底してきた」と強調した。中内新代表も「(売上げが)でっかい会社を目指しているわけではない。儲かる(利益率)会社を目指しているわけではない」と語った。品川氏は、経営理念の一部(全文は相当長文)をそのままそらんじて披瀝した。

 記者は、中小企業研究の第一人者といわれる百瀬恵夫・明大名誉教授から「中小企業が生き残れるかどうかはその企業がしっかりした理念、哲学を持っているかどうかだ」ということを教わった。ポラスはしっかりした理念、哲学を持ち、実践してきたからこそここまで成長できたのだろうと改めて思った。

◇     ◆     ◇

 記者は、創業社長の中内俊三氏が亡くなられたとき、羅針盤を失ったポラスは四分五裂するのではないかと思った。しかし、そうはならなかった。むしろ求心力は強まった。建売住宅のレベルも注文住宅のモデルハウスのデザインもどんどん進化している印象を受ける。大久保氏は「リーマンショック後、購入した土地に建物を建てて売っても赤字になったときは苦しく、悔しかった」と述べたが、見事な舵取りでトップクラスの戸建て分譲・メーカーに育て上げた。

◇     ◆     ◇

 一昨年、いわゆるパワービルダーへの住宅部材の納入をやめ、地域ビルダーとの連携を強めると中内晃次郎氏が明言したのを聞いて、晃次郎氏のポラスの次期代表就任はそう遠くないと確信した。年間2〜3万戸の戸建てを供給しているパワービルダーと決別するのは相当の勇気がないとできないことだろうが、ライバル会社への部材の供給をやめるというのは、極めて分かりやすい当然の決断でもあると理解した。

 中内氏は新しい代表に就任するに当たって、「昨年の秋ごろ、大久保さんから『(社長交代は)そろそろだぞ』と聞いた。(亡くなった)父には『大久保さんがよくやってくれたよ』と墓前に報告した。オーナー家としては、母(中内セイ子氏)と兄弟(長男の景太良氏と 3 男の啓夫氏)の家族会議でオーナーと経営は別に考えようと合意して決めた。品川さんや兄弟を含めそれぞれがみんなで盛り立てていきたい」と語った。

ポラス新代表に中内晃次郎氏 大久保氏は中央住宅会長へ(2/15)

(牧田 司 記者 2011年2月18日)