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津波避難ビル指定 震災後に2倍に増加

 国土交通省と内閣府は12月27日、「津波避難ビル等」に関する実態調査結果についてまとめ共同発表した。

 アンケート調査は、岩手県、宮城県及び福島県内を除く沿岸の市区町村610団体を対象に、平成23年6月30日現在と10月 30日現在の避難ビルの指定状況などをまとめたもの。

 これによると、平成23年6月30日現在の避難ビルの指定は1,876棟で、10月31日現在は3,986棟と約2.1倍に増加した。公共建築物と民間建築物の比率は約1:2で民間建築物が多く、建築物の階数は2〜4階建てが約4分の3を占め、耐震性が確認されていない建築物も2割弱指定されている。

 津波避難ビルの指定に当たっての課題としては、沿岸地域に中高層建築物が少ないこと、夜間・休日の対応、オートロックの開錠、避難時の安全確保上の責任、ビルの破損の賠償、プライバシー確保の観点から所有者の同意が得るのが困難であることなどが指摘されたという。

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 興味深く発表資料を読んだ。記者は専門家でもなんでもないので軽率なことはいえないが、今回の震災の報道を見て、高台に避難するのがもっとも安全だとは思ったが、高台に避難するまでに果たして時間的余裕があるのか、道路が混雑したり被害を受けて通れなくなったらどうするのかなどの課題もあると思った。

 それよりも、耐震性の高いビルやマンションその他の建築物に避難するほうが現実的な対応策ではないかと考えた。戸建てエリアでも集合住宅化を進めるのも災害を防ぐには効果的ではないかと考えている。

 アンケート結果は、記者と同じように考えている行政担当者が多いことを裏付けている。この4カ月の間に避難ビルが2倍に増加したとは驚きだ。用途別でもマンションなどの民間住宅がもっとも多く273棟で、学校227棟、ホテル184棟より多いのに注目したい。マンションが地域の安心・安全を支える役割を果たすことに期待したい。デベロッパーや管理会社の出番だ。

(牧田 司記者 2011年12月27日)