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三井不動産レジデンシャル 画期的なマンション防災基準


「パークタワー東雲」(左)と「パークタワー梅田」完成予想図

 三井不動産レジデンシャルは、今後開発するマンションの防災基準を強化することを決定した。災害発生時に居住者の生命や財産を守るための対策として免震構造の採用、長周期地震動対応、エレベーター対策、家具転倒防止対策などを施すほか、災害発生後に居住者のライフラインを確保するための電気の確保、水の確保、液状化対策などを実施、防災備品・防災倉庫の設置、震災マニュアル作成など居住者による共助活動を円滑に進める対策も強化する。

 強化策は、平成26年に竣工予定の「パークタワー東雲(総戸数585戸・東京都江東区)」、平成25年竣工予定の「パークタワー梅田(総戸数230戸・大阪府大阪市北区)」を始め同社のマンション「パークホームズ」「パークシティ」「パークタワー」「パークコート」で実施する。

 免震構造の採用は、建物の高さが60m(おおむね20階)超の超高層マンションに採用する。長周期地震動対応としては、大規模地震の地振動を想定して構造設計を行なう。エレベータ対策は、非常用エレベータを設置する場合、被害を受けにくく復旧がしやすい耐震クラス「S」のものを採用する。

 家具転倒防止対策としては、これまで家具の設置が想定される洋室内の間仕切り壁に家具転倒防止下地を設置していたが、今後は全ての住戸内壁面に家具転倒防止下地を設置するほか、大型テレビなどにも対応できるよう上下二段の転倒防止下地を設置する。また、これまでほとんど転倒防止下地を設置していなかった戸境壁についても上下二段に転倒防止下地を設置する。

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 この一連の防災対策強化策を同社が打ち出したことに驚いた。免震構造の採用については、例えばナイスがおおむね10階以上(30m)は免震を採用することを決めてはいるが、同社が60m以上は全て免震とすることを公表した意味は大きい。

 さらに驚いたのは家具の転倒防止下地処理だ。同業他社も家具の転倒防止策をとってはいるが、同社は乾式遮音戸境壁であろうとコンクリート戸境壁であろうと床から60センチと180センチの部分二段の転倒防止下地を設置し、戸境壁専用の留め金具を入居時に提供するという。「ここまで徹底して下地を設置するのは当社が初めてではないか」と同社広報がコメントしたように、これは画期的なことではないか。乾式壁もコンクリート壁も後付けで転倒防止対策を施すの難しく、お金もかかる。

 防災対策では同社が一歩も二歩も抜きんでたことは確かだ。 記者は、マンション内で大きな地震を経験したとき、一番恐いのはパニックになることと加熱した油などの飛散、家具の転倒だと思っている。旧耐震はともかく、新耐震ならまず倒壊はないと信じている。

(牧田 司記者 2011年12月21日)