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先が思いやられる公共建築物の木造化 取組状況公開


木造化の事例 亀山市立関中学校(農林水産大臣賞を受賞。中庭空間を「街道」に模して配置。地域のスギを長大丸太柱・壁に使用)

 国交省、農水省は12月7日、「公共建築物における木材の利用の促進に向けた措置の実施状況について」と題する資料を公表した。両省が平成22年10月に定めた「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」の取組状況や木材の利用促進に向けた措置の実施状況をまとめたもので、基本的には国などの公共建築物で低層のものは原則として木造とし、その他、エントランスホール、記者会見場、職員の執務室など、直接、又は間接的に報道機関などを通じて国民の目に触れる部分の内装は木造化を図ろうという方針だ。

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 ざっと目を通したが、一昨年10月に基本方針が定められたというのに、最高裁判所と消費者庁はまだ計画を策定中で、今年度9月以降に定めたのは全22省庁のうち半数にのぼる。

 低層の公共建築物の木造化についても、「国営明石海峡公園 神戸地区管理棟」(約670u)、「横浜植物防疫所つくば圃場」(約690u)、「十和田八幡平国立公園 休屋集団施設地区博物展示施設」(約800u)が主なもので、公園の約30uのトイレも含めて13事例しか紹介されていない。内装の木質化についても5事例しかない。バイオマス利用については、ほとんど「努めている」という表現にとどまっている。その他、国の取り組みも「検討に着手」「研究を開始」「法の周知徹底を実施」などと中身に乏しい。

 都道府県の取り組みでも、県方針を策定しているのは35都道府県にとどまっており、市町村まで定めているのは90自治体にも達していない。

 国は、木材自給率を現在の27.8%から向こう10年までに50%に引き上げる方針を打ち出しているが、これでは先が思いやられる。

(牧田 司記者 2011年12月8日)