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「量の王者」から「質の王者」へ 大京・ライオンズ


「ライオンズ多摩センター ステーションブライト」完成予想図

 先日の有楽土地「オーベルグランディオ多摩中央公園」に引き続いて大京「ライオンズ多摩センター ステーションブライト」を紹介する。

 物件は、京王相模原線京王多摩センター駅から徒歩3分、又は小田急多摩線小田急多摩センター駅から徒歩3分、多摩市鶴牧1丁目に位置する地下1階・地上12階建て全45戸の規模。専有面積は65.72〜86.22u、第2期(戸数未定)の価格は3,400万円台〜5,400万円台(最多価格帯3,600万円台)、坪単価は187万円。竣工予定は平成24年7月3日。施工は埼玉建興。設計は日企設計。

 最大の特徴は、駅から徒歩3分の駅近で、用途地域は近隣商業だが、敷地南側は桜並木が美しい道路・舗道と乞田川に面しているところと、単価が安い(有楽の記事参照)上に、設備仕様が高く、同社の新商品であるオリジナルの食器戸棚「「L's KITCHEN Cabinet (エルズキッチン キャビネット)」と「CUSTOM CLOSET(カスタムクローゼット)」が標準装備されている点だ。

 「L's KITCHEN Cabinet」は、家事労働の動線を考え、徹底してデッドスペースを排除した上、収まりのいい収納にしている点だ。電子レンジ置き場の確保はもちろん、炊飯器・オーブントースターをスライド式テーブルにまとめ、ゴミ箱スペースは扉付きで目隠しでき、分別もしやすくなっている。毎日使う食器は出し入れがしやすいよう回転式カゴに収まるようになっており、扉裏にラックを設けて小物が入れられるように工夫している。一般的な既成の食器棚より26 %収納力を高めたという。

 「CUSTOM CLOSET」も同じように、徹底した無駄なスペースの排除と、空間の有効利用を図っている。ライフスタイルや家族構成によって「ウエアたっぷりスタイル」「キッズスタイル」「ドレスアップスタイル」の3タイプが自由に選べるようになっているのが特徴で、「ウエアたっぷりスタイル」ではハンガーパイプを上下2本にしたり、扉裏トレー、可動棚を増やすことで収納力を高めている。

 すでに第1期20戸が契約済みで、近く第2期の分譲が始まる。来場者は、設備仕様の高さやキッチンの食器棚が標準であることに驚くという。

    
エルズキッチン キャビネット(左)と回転かご付き食器棚

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 同社の「ライオンズリビングラボ」が開発したオリジナルのキッチンや収納は、これまでもたくさん見学しており驚かないのだが、全て盛り込んでいるのを見たのは今回が初めてだった。これには正直驚いた。業界の常識を覆した。

 例えば「L's KITCHEN(エルズキッチン)」。カウンタートップは御影石で、食洗機が標準装備されていた。同社は全国全ての分譲物件に「L's KITCHEN(エルズキッチン)」を標準仕様としているという。御影石のカウンタートップも首都圏物件の7割に採用している。このほか全国採用率は、収納力をアップさせた下足入れ「MULTI ENT-CLOAK(マルチエントクローク)」が100%、洗面室の収納に工夫を凝らした「LAUNDRY CUBE (ランドリーキューブ)」が91.2%、しまうものに合わせてアレンジできる物入れ「ARRANGE SHELF (アレンジシェルフ)」が67.6%、襖の上下に通気口を設けた「Airy Oshiire (エアリー押入)」は今後ほぼ100%採用する予定という。

 同業他社の場合は、商品特性によって設備仕様を変えるのは常識で、1次取得層向けの物件に御影石のキッチンカウンターを採用するのはまずないし、食洗機もオプションにするケースのほうが多い。食器棚を標準装備するケースもまれだ。

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 先日の「ライオンズ志村坂上レジデンス」のときと同様、同社商品企画部担当部長・川合幸晴氏と同部リビングラボ課課長代理・山岸真樹さんに話を聞いたが、これらのスペックを一度採用すると、その商品への理解が伝わっていくほど、お客さんはもちろん営業マンの採用要求が飛躍的に高まるのだという。商品の説明や勉強会に「ライオンズリビングラボ」のチームは全国行脚しているのだという。

        
左からウエアたっぷりスタイル、キッズスタイル、ドレスアップスタイル

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 同社がマンション供給トップの座を他社に明け渡してから4年が経過する。大量供給時代ならいざ知らず、ユーザーの多様なニーズに応えなければならない時代に「供給トップ」の価値などないとは思うが、ならば大京は何を目指すかを注目して見てきた。フラッグシップの「ザ・ライオンズ」はアッパーミドルをターゲットにした商品で、これはこれでいいと思っている。記者は、「ここ数年、大京の商品企画は劇的に高まっている」と書いてきたが、これは主にザ・ライオンズの物件を見てきたからだ。

 しかし、主力の「ライオンズ」でどう差別化を図るのかがカギだと思っている。そして、先の「ライオンズ志村坂上レジデンス」や今回の「ライオンズ多摩センター ステーションブライト」を見学して、同社が「量の王者」から「質の王者」をたい冠する日も来るのではないかと思う。

星14個獲得した有楽土地 「多摩中央公園」(10/28)

(牧田 司記者 2011年11月7日)