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激化するコンパクトマンション市場 新日鉄都市開発が開発強化


「リビオレゾン清澄庭園」完成予想図

 新日鉄都市開発が先にニュースリリースで開発・販売を強化するとした都市型コンパクトマンションブランド「リビオレゾン」の一つである「リビオレゾン清澄庭園」を見学した。

 物件は、東京メトロ半蔵門線・都営地下鉄大江戸線清澄白河駅から徒歩1分、江東区清澄3丁目に位置する12階建て全38戸(事業協力者住戸8戸含む)の規模。専有面積は39.99〜66.17u、予定価格は2,800万円台〜5,000万円台(最多価格帯3,900万円台)、坪単価は236万円。竣工予定は平成24年5月中旬。設計・監理は安宅設計。施工は熊谷組。販売代理はグローバル住販。今週末から販売を開始する。

 「リビオレゾン」は、同社のニュースリリースによると「従来の “ コンパクトマンション ” のカテゴリにとどまらず、これからの都心生活の幅広いニーズをとらえた新しいマンション」だ。ブランドのキーコンセプトとして @Central ( 都心アドレス ) AConvenient ( 便利な住環境 )BCompact ( 空間効率 )CConvertible (自在なスタイル) DComfortable (快適な暮らし)−−の5つの “ C ” を設定している。

 同社は2003年から都心エリアでのコンパクトマンションを分譲しており、これまで都内で20棟以上、約1,100戸の物件を供給してきた。開発・販売を強化するのは「これまでコンパクトマンション購入層の中心であった 20代〜30代の単身・DINKS世帯のみならず、ファミリーを含めたより幅広い層が都心物件を志向する傾向が強くなってきた」ことを背景にあげている。

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 コンパクトマンションの購入層が、単に単身・ DINKSだけでなく、幅広い層が都心物件を志向する」という考えはその通りだろうと思う。すでに十数年前からその兆候は顕在化していた。震災を経験して、その傾向は強まるだろうし、少子高齢社会では当然の現象だろうと考える。

 問題は、やはり価格だ。記者は一部の富裕層を除き、一般的な単身・DINKS、あるいは小家族世帯の購入限界単価は坪250万円、グロスにして6,000万円だろうと思っている。広さとしては単身者は最低40uを希望しているのではないかと思う。

 これらの条件をマップ上に落とし込むと、山手線内では絶望的だし、城北、城東、城南の一部エリアに限定される。もちろん各デベロッパーも同じことを考えているはずだ。競争は益々激化する。

 今回の「清澄庭園」は、需要層のニーズを満たしている物件だ。単価はアッパーで坪250万円だと思っていたが、236万円というのは販売を長期化したくないということで設定されたのではないか。「駅から1分」というのも大きなセールスポイントになるはずだ。「駅1分」は、同社がニュースリリースしたときに発表した「リビオレゾン南池袋」、「リビオレゾン両国オン・ザ・ステーション」、「リビオレゾン木場公園」、「リビオレゾン清澄庭園」、「リビオレゾン白金」のうち、今回見た「清澄庭園」のほか「両国」「木場公園」もそうだ。単価も坪230〜260万円に収まりそうだ。

 居室に引き戸を多用しているのも理解できる。ただ、細かなスペックについては注文もある。

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 同社は、この「リビオレゾン」もそうだが、先に記事にもした定期借地権付きの「日暮里」、建て替えの「テラス渋谷美竹」と「ザ・神宮前レジデンス」など話題物件を次々供給する。たまたま話題物件が集中したのか、それともマンション事業を一層強化して、既存の大手デベロッパーに戦いを挑むのか興味深い。

(牧田 司 記者 2011年11月1日)