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大京 劇的に変わったマンション商品企画

  
「エアリー押入れ」(左)と従来の襖

 先に大京「ライオンズ志村坂上レジデンス」について書いたが、今回は同社の商品企画について書く。

 「志村坂上」でこれはいい≠ニ思ったのは「エアリー押入」だった。和室の襖の上下に通気口を設けることで湿気やカビを抑制するものだ。記者は、以前からどうしてデベロッパーはこのようなものを採用しないのか不思議に思っていた。唯一、採用していたのを見たのはマリモのマンションだった。マリモは、押入の中桟を可動式にもしていた。こうしたちょっとした工夫がユーザーの心に響くのだ。

 「Raku Bathroom」もいいと思うが、「エアリー押入」ほど感動しなかった。掃除がしやすく、バスケットが取り外しできるのはいいが、記者のようにシャワーだけの者にはシャンプーが下のほうにあるのはどうか。

 ここからが本題だ。同社は今年6月、昨年から入居が始まっている3物件169世帯を対象に「Lions Living Labo」の活動に対する入居者アンケートを実施した。

 「Lions Living Labo」は、快適な住空間を提供するために女性モニターなどの声を企画に生かそうと、同社が5年前に立ち上げたものだ。この種のプロジェクトは以前から各社が行なっているが、キッチンや収納などを劇的に変えたという点で、同社の提案はぬきんでている。他のデベロッパーも類似機能のオリジナル商品を出しているが、同社のマンションの設備仕様の工夫、グレードは業界トップクラスだと思う。

 さて、このアンケートの結果だが、同社商品企画部担当部長・川合幸晴氏は「自画自賛ですが、入居者の95%の方々に満足していただいている」と語ったように、「L's KITCHEN」は98%、「Ki-Le-i DRESSER 」は97%、「マルチエントクローク」は95%以上の入居者が「満足」「どちらかといえば満足」と答えている。

 いいと思う≠ゥらマンションを購入するのだから、不満が少ないのは当然としても、記者が注目したのはアンケートに対する回答率の高さだ。アンケートを実施したのは「ザ・ライオンズたまプラーザ美しが丘」「ザ・ライオンズ杉並善福寺川緑地」「ライオンズときわ台レジデンス」の3物件だが、回答率は平均で 67 %に達している。「たまプラーザ美しが丘」は実に84%だ。この回答率は高い。この回答率の高さからも「Lions Living Labo」が大きな支持を受けていることが分かる。

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 もう一つ、このアンケートで面白い回答が寄せられている。「Lions Living Labo」に対する全体的な評価で、73%が「好感が持てる」としているほか、15%が「ライオンズマンションのイメージが変わった」と答えたことだ。どのようにイメージが変わったかは公表されていないが、「よくなった」と解釈できる。ユーザーも同社のマンションが変わったと実感していることがうかがわれる。

 リーマンショック後、多くの中堅デベロッパーが市場から退場を余儀なくされ、ユーザーの大手志向は加速している。「ライオンズ」が量ではなく質の高さで業界トップの座を奪還することを期待したい。「見える化」ではないが、同社はどうもその点でアピールするのが下手なような気がする。


ラクバスケット

大京「志村坂上」のマンション 浴室・襖に新工夫(10/27)

(牧田 司 記者 2011年10月28日)