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国交省  「不動産流通市場活性化フォーラム」第1回会合

 国土交通省は10月21日、「不動産流通市場活性化フォーラム」(座長:中川雅之日大経済学部教授)第1回会合を開いた。昨年6月に閣議決定された新成長戦略で中古住宅の流通市場の整備が重点課題とされたのを受けて開催されるもので、。来年の6月までに不動産流通市場の活性化に向けた提言をまとめる。

 会合では、国交省から不動産流通市場の現状と課題について報告があり、大きな課題として@取引に当たって消費者の求める情報が適時適確に提供されていないA不動産事業者などが消費者のニーズに十分応えられていない−などとし、性能評価、建物検査、不動産鑑定評価サービスの提供や、価格の妥当性が判断できない、瑕疵に対する不安、耐震性や断熱性の品質が低いことなどにどう対応するのかが喫緊の課題とされた。

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 記者(牧田)は他の取材が入っており傍聴できなかったので、新米の記者に行かせた。「誰が何を話したかメモして来い。(記者も流通は疎いが)難しい話が出るだろうから録音して来い」と言って送り出した。ところが、「フォーラム」は2時間のうち30分ぐらいが国交省による資料説明で、残りの1時間30分はほとんど委員の自己紹介だけで終わったという。

 委員は27人もいるのだから、話す時間は単純計算で1人当たり3分しかない。3分あれば自分のいいたいことはしゃべれるはずだとも思うが、新米記者には「自己紹介と会社説明、所属説明ぐらいしか話さなかった」と映ったようだ。

 記者は、委員の数からして相当力が入っている「フォーラム」だと思っている。既存ストックを有効に生かすのは喫緊の課題というのもその通りだと思う。「中古の時代」はもう到来している。だからこその会合だ。

 しかし、第1回目の会合が新米記者が受けた印象の通りだとすれば、何だか先が思いやられる。つまり、6回分で1人が話せるのは3 × 6=18分しかない。もう1回済んだから、残りは15分だ。徹底した論議を交わす時間は残されているのか。

 「船頭多くして … 」にならないことを祈りたい。各委員の意見を列記するだけで、ほとんどまとまらなかったこの種の会合をたくさん取材している。

 それにしても、事業者が消費者ニーズに応えていないという現状認識はどういうことだろう。もし、記者の取材フィールドである「分譲マンションは消費者のニーズに応えていない」といわれたら事実に基づいて徹底した反論を加えられる自信がある。不動産流通業界関係者は考えないといけない。

(牧田 司 記者 2011年10月21日)