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東京都住宅供給公社の賃貸建て替え

高齢者対応・子育て・地域交流をセットに


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 東京都住宅供給公社は、急速に進む少子高齢社会に対応するため今年3月、「少子高齢対策事業の方針」を策定し、専門の組織「少子高齢対策室」を設置して具体的な事業に取り組んでいる。

 背景にあるのは、急速に進む少子高齢社会の到来だ。65歳以上の高齢者人口は、2015年(平成27年)には都民の4人に1人、2035年(同47年)には3人に1人の割合に達すると予測されており、その一方で、出生率は2005年の1.00を底に2009年には1.12まで増加しているものの、全国平均を下回っている。14歳以下の年少人口は今後減少していくと予測されている。

 また、公社住宅の全入居者の平均年齢は約50歳、65歳以上の高齢者は全体の約29%になっており、1959年(同34年)年度以前に建設された団地では平均年齢は約58歳、65歳以上の構成比率は約47%にも達している。

 こうしたことから、公社は高齢者が安心して暮らすことができるよう日常生活を支援するサービスや介護サービスが利用可能な住宅の提供が欠かせないとし、建て替えなどで創出した用地を利用して高齢者施設や保育所を併設した高齢者向け賃貸住宅の建設、子育てに適した住宅を併設した多世代共生住宅の供給、既存住宅へのエレベータの設置や2戸1化、高齢者向け住戸改善に取り組む。

 そのいくつかが具体化されつつあるのが、「向原住宅」「烏山住宅」「「平尾住宅」「富士見町住宅」だ。

 「向原住宅」は、東京メトロ有楽町線・副都心線小竹向原駅から徒歩9分の板橋区向原3丁目の従前戸数840戸の団地。すでに1期として293戸が建て替え済み。2期として約400戸の建替えを計画するとともに、サービス付き高齢者向け賃貸住宅を約50戸供給する。在宅療養支援診療所、保育所、地域開放型カフェテリアなども設置する。また、24時間生活相談・緊急時対応なども行なう。施設管理・サービス提供を行なう事業者として「社会福祉法人 こうほうえん」を選定している。平成26年4月に開設する。

 「烏山住宅」は、京王線千歳烏山駅から徒歩6分の世田谷区烏山6丁目にある従前戸数584戸の団地。1期313戸が建て替え済み。2期として192戸を建て替えるが、このうち約60戸を子育てに適した住宅とする。また、サービス付き高齢者向け賃貸住宅を約80戸供給するほか、複数の介護事業所、保育所、地域交流の場となるカフェなどを設置し、多世代が共生するすまいを整備する。運営事業者として「東京建物不動産販売・やさしい手・ポピンズ」グループが先に決定された。全ての施設が竣工するのは平成26年3月。

 「平尾住宅」は、小田急線新百合ヶ丘駅からバス10分の稲城市平尾3丁目に位置する分譲住宅と賃貸住宅が混交する団地。不用となった下水施設跡地を利用して約50戸のサービス付き高齢者向け賃貸住宅を建設する。地域のニーズを踏まえた高齢者施設、生活利便施設も整備する計画だ。

 「富士見町住宅」は、JR立川駅からバス9分の立川市富士見町 6 丁目に位置する昭和42年に管理開始した15棟全750戸の団地。良好なストック再生を目指し、34.5uの2DKの空き住戸を利用して床の段差解消、介護に配慮した間取りへの改修や水周りスペースの確保、和室の洋室化などの工事を行実施した。

 公社は、今後も民間企業や行政、大学などと連携して取り組みを強化していくという。

(牧田 司 記者 2011年10月20日)