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アーネストワン 利益率 業界トップ

建売住宅市場の隙間を快走

 

 既報の通り、アーネストワンの平成23年3月期第3四半期の売上高が1,088億円(前年同期比11.3%増)、営業利益が153億円(同37.1%増)、経常利益が153億円(同37.4%増)にのぼった。売上高経常利益率は14.1%だ。驚異的な数字だ。リーマンショック後、売上高経常利益率で10%以上を計上している不動産上場会社は皆無だ。同社と同じ建売住宅事業が中心の一建設も高水準だが、それでも10%未満だ。

 契約戸数も第3四半期累計で4,076棟に達しており、通期では6,000戸近くに上るものと見られる。

 よくマンションの供給ランキングが取りざたされるが、マンションと建売住宅の「分譲住宅供給ランキング」というくくりで捉えると、トップは一建設(22年1月期は7,446戸)で、2位はアーネストワンだろう。

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 同社がジャスダック市場に上場したのは平成14年だった。売上高は252億円、経常利益は20億円(売上高経常利益率は7.9%)、従業員数は60人だった。その会社が、わずか9年で売上げは約5倍、従業員数は約9倍に伸ばし、業界トップの利益率を確保できるまで急成長した。

 なぜそこまで伸びるのか。それは、徹底した合理化と低価格路線による原価圧縮だ。

 用地取得のため徹底した地域密着の営業所展開と販売のアウトソーシングはよく知られている。記者は、同社の旧社名、伏見建設工業時代を通じて一度も取材をしたことがない。14年のジャスダック上場のときも取材を申し込んだが、「業界紙の取材を受けても何のメリットもない」とにべもなく断られている。

 こうした姿勢は一建設も同様だ。記者は一建設が飯田建設工業の時代、「記事にしない」ことを条件に創業社長の飯田一男氏に年 1 回インタビューすることを許されたが、木造家屋の事務所で2時間、3時間、電気ストーブの前で待たされた。新聞購読料を無料にすることも強要≠ウれた。当時、「こんなけちな会社は他にない」とよく思ったものだ。

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 物件の合理化も徹底している。アーネストワンのホームページには約200件の戸建てが紹介されているが、建物面積が100u以上の物件は仙台など地方を中心に102物件しかない。100u以下が圧倒的多数を占めているのだが、それも十中八、九は90・91uだ。都内の物件であろうが、神奈川、埼玉、千葉の物件も一様に建物面積は27坪強だ。

 敷地面積は100u前後だ。用途地域や斜線制限、地型、道路付けなど様々な制約の中で、これほど徹底して90uを貫くのは容易でない。大手デベロッパーなどの建物面積はほとんど100u(30坪)以上だ。この3坪の差は大きい。これだけで少なくとも百数十万円の価格差を設けることができる。

 グロス価格も驚くほど低い。この約200物件のうち価格が4,000万円を越える物件はわずか6物件しかない。逆に3,000万円以下は51.3%に当たる147物件に達する。2,500万円以下も32.2%の92物件ある。間違いなくマンションより安い。

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 是非はともかく、ここまでシステマティックに建売住宅事業を展開できるのは、同社と同じ手法で業界トップの座を走り続けている一建設ぐらいしかないだろう。エリアに関係なく「90uの4LDK」を貫く同社の姿勢は、「マイホームを手に入れたいという夢を一人でも多くの人々に叶えてもらいたい」という企業理念にも結びつくのだろうか。

 大手デベロッパーはもちろん、中堅の建売住宅業者もなしえない隙間≠アーネストワンは快走している。

アーネストワン戸建て絶好調 経常153億円 第3四半期(1/28)

(牧田 司 記者 2011年2月3日)