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建売住宅 パワービルダーの寡占続くか 用地費上昇 新規参入も

 別表は建売住宅を主な事業とするデベロッパーの直近の業績と建売住宅の売上戸数をみたものだ。

 注目すべきなのは、一建設を始めアーネストワン、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、ファースト住建の6社が、旧飯田建設工業(現一建設)と同社から独立した会社であることだ。その業績、計上戸数もすさまじい。しかし、各社ともマスコミ対応は消極的で、マスコミもあまり報じない。じわじわと隠花植物のように全国を席巻しつつある。

 トップの一建設は売上高が2,000億円を突破し、計上戸数は7,508戸にも達する。マンションと比較してもその戸数の多さが浮き彫りになる。藤和不動産を吸収合併し、今年1月に誕生した三菱地所レジデンスが全国トップだが、2010年の供給戸数は6,148戸だ。一建設はそれを1,500戸近く上回る。業界2位のアーネストワンも売上戸数は5,978戸にも上る。6社を合計すると戸数は21,132戸だ。全国の分譲戸建ての着工戸数は平成22年度が約11万戸だから、実に20%近くを6社が占めることになる。

 いうまでもなく、これほどの数字を挙げられるのは他社が真似の出来ないビジネスモデルを構築したからだ。基本的にこれら各社に共通するのは、網の目のように張り巡らせた用地仕入部隊を中心とする営業所展開と、販売代理を地場業者に委託するアウトソーシング、徹底した建築コスト削減だ。

 営業所の数ではトップの一建設は全国で100カ所を超える。建築プランも驚くべきものだ。一般的に建売住宅は道路付けや地型によって制約を受けやすく、間取りも多様なものになるが、各社に共通するのは、どこのエリアでも土地面積が約30坪、建物面積が27〜30坪、間取りが同じということだ。価格もほとんどが3,000万円台以下で、2,000万円台後半という物件も少なくない。外構などもほとんどない。

 いかにこのシステムが貫徹されているかは、三井不動産などの大手の建売住宅と比べるとよく理解できる。単純に計算すると、一建設の一戸当たりの単価は2,504万円で、三井不動産は5,436万円だ。つまり半値以下だ。徹底して大手との競合を回避している。

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   果たしてこうしたパワービルダーの市場占有・寡占が続くのか。好況市場を背景にじわりと土地の仕入れ単価も上がってきた。大京、タカラレーベン、フージャースコーポレーションなどマンションデベロッパーも再び事業参入するところが目立ってきた。アッパーミドルを主なターゲットにする大手デベロッパー、独自路線を突き進むポラスグループ、さらには大手ハウスメーカー、地場系ビルダーなども加わってマンション以上に建売住宅市場は面白い展開になってきた。それにしても街づくり≠フ東急不動産が95戸とはいかにもさびしい。

(牧田 司 記者 2011年9月6日)